大宮は保持率60%でも宮崎と1―1 枠内シュート4本ずつが示す攻撃の違い
前半終了間際に奥村 晃司が先制し、82分に途中出場のカウアン ディニースが追い付く。テゲバジャーロ宮崎とRB大宮アルディージャの一戦は、1―1で終わった。
大宮がボール保持率60%を記録したのに、なぜ得点では差がつかなかったのか。数値から読み取れるのは、保持の差ほど、シュート数には差がなかったという点だ。宮崎は14本、大宮は15本。枠内シュートはともに4本だった。大宮のボール保持、宮崎のシュート実績、そして大宮の途中出場者による同点弾を分けて見ると、この引き分けの輪郭がつかめる。
- 宮崎は前半45+1分に先制し、大宮は82分に同点とした。
- 大宮は保持率とパス成功率で上回ったが、シュート数の差は1本だった。
- 同点弾を決めたカウアン ディニースは、後半開始から出場していた。
宮崎の先制を、大宮が82分に取り戻した
得点経過では、宮崎が先にリードを得て、大宮が終盤に同点へ戻した試合だった。
2026年10月4日、いちご宮崎新富サッカー場で行われた明治安田J2リーグ 2026 第9節。最終スコアはテゲバジャーロ宮崎1―1RB大宮アルディージャだった。Jリーグ公式の試合記録に、結果、得点、交代、警告、主要スタッツが掲載されている。
得点は次の2つだ。
- 前半45+1分:奥村 晃司(テゲバジャーロ宮崎)が先制。
- 82分(後半37分):カウアン ディニース(RB大宮アルディージャ)が同点ゴール。
宮崎は1点をリードして前半を終えた。大宮は後半に追い付き、その後スコアは動かなかった。
この順序を踏まえると、宮崎には先制という成果と、リードを最後まで維持できなかった結果の両方がある。一方の大宮には、先に失点したことと、同点まで戻したことがある。1―1という最終結果だけを見るより、両チームの成果と残った課題を分けて捉えやすい。
大宮の保持での優位は、シュート数の大差にはならなかった
全試合の数値では、大宮がボールを持つ割合とパス成功率で上回りながら、シュート数は両チームで近かった。
| 項目 | テゲバジャーロ宮崎(ホーム) | RB大宮アルディージャ(アウェイ) |
|---|---|---|
| シュート | 14 | 15 |
| 枠内シュート | 4 | 4 |
| ボール支配率 | 40% | 60% |
| パス成功率 | 63% | 81% |
| コーナーキック | 4 | 7 |
ボール保持率は宮崎40%、大宮60%。パス成功率は宮崎63%、大宮81%だった。コーナーキックも宮崎4本に対し、大宮7本だった。
これに対し、シュートは宮崎14本、大宮15本。枠内シュートは両チームとも4本だった。
宮崎は少ない保持割合でも14本を記録
宮崎の保持率は大宮を下回ったが、シュート数は1本少ないだけだった。
この比較からは、宮崎の攻撃を「ボールを持てなかったから、シュートも少なかった」と片付けるのは適切ではないと考えられる。先制点に加え、大宮に近い本数のシュートを記録したことは、宮崎の攻撃を評価する具体的な材料になる。
ただし、保持率40%とシュート14本だけでは、そのシュートが速攻から生まれたのか、相手陣内でパスをつないだ結果なのかまでは分からない。少ない保持割合を、そのまま特定の戦術が成功した証拠にすることはできない。
大宮は保持とパスの数値を上回らせた
大宮は保持率60%、パス成功率81%を記録し、いずれも宮崎より高かった。一方、最終的な得点は宮崎と同じ1点だった。
大宮の攻撃を評価する際には、ボールを保持したことと、それを得点へ結び付けたことを別に見る必要があると考えられる。保持関連の数値で上回った点は認めつつ、シュート数では大きな差がつかなかった点も、同じ重さで検討したい。
パス成功率は、通したパスの割合を示す指標だ。成功したパスがどの位置で相手の守備を動かしたかまで示すものではない。そのため、81%という数字だけで、大宮がゴール前でも常に優位だったとは判断できない。
枠内4本ずつでも、決定機の質まで同じとは限らない
両チームの枠内シュートは4本ずつで、得点も1点ずつだった。
この一致は、ゴールの枠を捉えたシュート数に差がなかったことを示している。ただし、枠内シュートは「決定機」、つまり得点につながりやすい好機と同じ意味ではない。
シュートの距離や角度、相手の守備による圧力が違えば、同じ枠内1本でも得点のしやすさは変わる。したがって、この試合を「両チームのチャンスの質も互角だった」とまで評価するのは踏み込みすぎだろう。近かったのはシュートの本数であり、好機の質まで等しかったとは言えない。
コーナーキックの4本対7本も同様だ。大宮により多くの機会があったことは確認できるが、本数だけでセットプレーの出来や得点との因果関係は説明できない。
大宮の交代は、途中出場者の同点弾という成果を残した
交代と得点を結び付けて確認できる最も明確な成果は、後半開始から出場したカウアン ディニースの同点弾だった。
大宮はハーフタイムに豊川 雄太を下げ、カウアン ディニースを投入した。そのカウアン ディニースが82分に得点し、スコアを1―1に戻した。
大宮の交代記録は次の通りだ。
- 後半開始:豊川 雄太 → カウアン ディニース
- 53分:尾崎 優成 → 杉本 健勇
- 66分:加藤 聖 → 山本 桜大
- 90+2分:中山 昂大 → イヨハ 理 ヘンリー
同点ゴールの前には、カウアン ディニースに続いて杉本 健勇と山本 桜大も投入されていた。
途中出場した選手が得点したという意味では、大宮の選手起用は具体的な成果を残したと評価できる。ただし、カウアン ディニースの投入だけが同点弾を生んだ、あるいは各交代によって攻撃が改善した、とまで結論づけることはできない。交代時刻と得点者の一致は、配置の変化や他の選手の関与まで説明するものではないからだ。
宮崎の交代は同点後に行われた
宮崎の交代は、82分の失点より後に記録されている。
- 85分:家坂 葉光 → 渡邉 英祐
- 85分:阿野 真拓 → 松本 ケン チザンガ
- 89分:村越 凱光 → 井上 怜
この時系列から、宮崎の交代を同点ゴールの原因として扱うことはできない。また、終盤の交代について、勝ち越しを狙ったのか、引き分けを維持しようとしたのかを、記録だけで決めつけることもできない。
警告は次の2件だった。
- 前半18分:警告・豊川 雄太(RB大宮アルディージャ)
- 後半16分(61分):警告・家坂 葉光(テゲバジャーロ宮崎)
両選手はその後交代しているが、警告が交代の理由だったとは判断できない。交代とカードの時刻が分かることと、起用の意図が分かることは別だ。
1―1を説明する鍵は、保持と得点への到達を分けること
この試合は、大宮の保持での優位と、宮崎のシュート実績が併存した引き分けとして読むのが妥当だと考えられる。
宮崎は奥村 晃司の得点で先制し、14本のシュートと4本の枠内シュートを記録した。大宮は保持率60%、パス成功率81%を記録し、途中出場のカウアン ディニースの得点で追い付いた。
大宮が多くボールを持ったのに得点差がつかなかった理由について、数値が示す答えは限定的だ。保持率には差があったが、シュートは14本対15本、枠内シュートは4本ずつだった。 大宮の保持を、そのままシュート機会の圧倒的な優位へ読み替えることはできない。
両チームの評価で残る論点は、次の2つになる。
- 宮崎: 先制と14本のシュートを評価しながら、82分の失点につながった攻防を検討したい。
- 大宮: 途中出場者による同点弾を評価しながら、保持率60%とパス成功率81%が、どのようなシュート機会につながったかを検討したい。
本数からは、宮崎にもシュートを打つ機会があったことが分かる。得点記録からは、大宮が交代出場の選手によって同点へ戻したことが分かる。さらに評価を進めるなら、見るべきなのは保持率の高さそのものより、両チームがどこから、どんな守備状況でシュートを打ったかだ。
