藤枝の攻撃復調は徳島に通じるか――保持率だけでは測れない第13節の攻防
藤枝がパスをつないで前へ出たとき、徳島の守備を崩し切れるか。それとも、攻撃の途中でボールを失い、逆にゴールを脅かされるか。10月24日の対戦は、藤枝がボールを持つ時間の長さより、その攻撃をどう終え、徳島にどう攻め返されるかが焦点になりそうだ。
藤枝には前節の複数得点という回復材料がある。一方、Jリーグ公式プレビューは徳島の守備にも改善を認めており、藤枝の槙野智章監督は保持中のカウンターを警戒している。攻撃の上向きだけを、勝利の予兆と受け取ることはできない。
- 藤枝は前節、6試合ぶりの複数得点。パスからゴールへ迫る攻撃を続けられるかが見どころ。
- 徳島は直近2試合無得点。藤枝の前からのプレスに対応し、敵陣深くへ進めるかが課題。
- 両チームとも中2日。攻め続ける場面と、無理をせず試合を落ち着かせる場面の判断にも注目したい。
対戦の前提――ともに勝利から遠ざかる中で迎える一戦
藤枝は8戦、徳島は4戦勝ちなしで、この第13節を迎える。
- 大会・節:2026/27 明治安田J2リーグ 第13節
- 対戦:藤枝MYFC vs 徳島ヴォルティス
- 開催日時:2026年10月24日(土)14:00
- 会場:藤枝総合運動公園サッカー場
10月23日22時台に確認されたJリーグ公式の対象試合ページでは、藤枝は10位、3勝6分3敗。徳島は13位、4勝2分6敗と掲載されている。いずれも12試合を消化した成績で、掲載情報の更新日時は明示されていない。
藤枝を率いるのは槙野智章監督、徳島は吉本岳史監督。藤枝は前節の栃木C戦で6試合ぶりの複数得点を挙げた。徳島は前節の八戸戦で終盤に失点し、0-1で敗れている。徳島は直近2試合で得点がない。Jリーグ公式の試合情報・プレビュー
勝利数では徳島が上回る一方、順位では藤枝が上にいる。藤枝の6引き分け、徳島の6敗という違いもあり、順位だけで両者の状態を一列に並べるのは難しい。今回の見立てでは、直近の攻撃と守備にどんな変化があるかを重く見たい。
藤枝の攻撃回復と徳島の守備改善がぶつかる
藤枝の見どころは、増えてきた攻撃機会を、徳島相手にも得点へつなげられるかにある。
Jリーグ公式プレビューを執筆した前島芳雄氏は、藤枝の直近2試合について、パスをつないで相手ゴールに迫る場面とシュート数が増え、攻撃に復調の兆しがあると評価している。
得点面でも変化はある。前節は金本毅騎が8試合ぶりにゴールを決め、中村優斗は今季初得点を挙げた。
この材料からは、藤枝がパスで前進する攻撃を今回も得点へ結び付けられるかに期待が向く。ただし、シュート数の増加と決定機の増加は同じではない。前節の複数得点を継続できるかは、今回あらためて問われることになる。
北村海チディを中心とする守備が対抗材料
前島氏は、北村海チディを中心に徳島の守備が改善しつつあるとも評価している。北村は藤枝で約3年半プレーし、今季から徳島に加入したGKだ。
出場する場合、古巣との対戦という背景に加え、藤枝の攻撃を最後に食い止める役割にも注目が集まりそうだ。藤枝にとっては、敵陣に入るところまでで満足せず、GKと守備陣を動かす攻撃へ進めるかが見どころになる。
ここで見たいのは、単なるシュート本数よりも、その直前の状況だ。
- 藤枝は相手の守備を動かし、ゴールを狙う時間をつくれているか。
- 徳島はシュートを打たれても、守備側が対応しやすい状況にとどめられているか。
- 一度防がれたあと、藤枝が再び攻撃できるか、徳島が前へ運べるか。
この攻防を追うと、藤枝が長くボールを持っていても、どちらが狙いに近づいているかを判断しやすくなるはずだ。
徳島の前進を左右する、藤枝の前からのプレス
徳島には、守る時間をしのぐだけでなく、藤枝の圧力を越えて攻撃へ移れるかという課題がある。
吉本監督は前節の八戸戦について、相手の前からのプレスに受けに回った部分があったと説明した。また、風のある難しい状況で、最も危険なエリアでプレーする機会が少なかったとも述べている。
前島氏は、藤枝も前からプレスを掛けるスタイルだとし、徳島が中2日で対応をどう改善するかを論点に挙げている。プレスとは、相手がボールを持った際に距離を詰め、自由なプレーを制限する守備のことだ。
今回も徳島が自陣で対応に追われれば、前線にボールを届ける機会は限られるかもしれない。逆に藤枝の圧力を越えられれば、藤枝が攻撃に人数を掛ける前とは異なる状況で、ゴールへ向かえる可能性がある。
ただし、八戸戦には風という条件もあった。前節の無得点をプレス対応だけの結果と決め付けたり、同じ展開が藤枝戦でも起きると予測したりするのは早い。徳島がどのように前進するかは、当日の配置とプレーで確かめたい。
藤枝が持つ時間にも、徳島の攻撃の入口がある
槙野監督は10月23日のクラブ公式コメントで、徳島は以前のボール保持を中心とするサッカーから変化してきているとの見解を示した。ルーカス・バルセロスらの前線を強力と評価し、藤枝がボールを持っているときにもカウンターを警戒したいと述べている。藤枝MYFC公式・徳島戦に向けたコメント
これは、徳島が今回カウンターを成功させるという予測ではない。それでも、藤枝の攻撃を評価するときに、ボールを失った直後まで見る必要がある理由にはなる。
藤枝が前へ出るほど、失ったボールをすぐに取り返せるかが重要になりそうだ。徳島側から見れば、奪ったあとに前線へ届けられるかが、守備の成功を攻撃へ変える分かれ目になる。藤枝の保持時間と徳島の攻撃機会は、単純な反比例では捉えにくい。
中2日の同型対決――攻める判断と落ち着かせる判断
短い準備期間で迎える今回は、同じ配置の中で誰が動くかに加え、いつ攻撃を急ぐかにも目を向けたい。
前島氏の公式プレビューは、両チームの基本布陣を3-4-2-1とし、同じ布陣が向き合う「ミラーゲーム」になると見立てている。これは試合前の想定であり、当日の先発や配置を確定するものではない。
同じ布陣で向き合う場合、近い位置の相手同士が対応しやすくなる一方、一人の動きによって周囲の対応が変わる可能性もある。藤枝がパスをつなぐ場面でも、徳島が前進を試みる場面でも、ボールの受け手を相手が追うのか、別の選手へ受け渡すのかを見ると、攻防を追いやすいだろう。
藤枝のDF松田佳大は10月23日のクラブ公式コメントで、中2日の条件は相手も同じだとしたうえで、試合運びについてピッチ内の選手からも発信したいと述べた。徳島のFW陣を強力とも評価している。
この発言を踏まえると、藤枝では攻める人数を増やす判断だけでなく、一度ボールを落ち着かせる判断にも注目したい。中2日という日程から疲労の程度や交代策までは決められないが、選手同士の意思がそろうかは、保持中のカウンター警戒ともつながる論点になりそうだ。
見立て――藤枝の前進が、徳島の攻め返しを上回れるか
藤枝の攻撃回復は期待材料だが、この一戦の優位は、攻撃を続ける力と攻め返しへの対応を合わせて見極めたい。
前節の複数得点は藤枝を後押しする。一方、徳島には公式プレビューが評価する守備の改善があり、槙野監督も前線の力を警戒している。藤枝がボールを持つ展開になっても、それだけで藤枝優勢とは判断しにくい。
徳島についても、直近2試合無得点という結果だけで攻撃の可能性を閉じる必要はない。吉本監督が振り返ったプレス対応を改善し、藤枝の圧力を越えて危険なエリアへ進めるなら、試合の見え方は変わるだろう。
なお、トニー アンデルソンについて確認できるのは、前節の八戸戦で出場停止だったことまで。今回の出場可否や起用は断定できない。10月23日時点で、今回の出場停止と負傷離脱の全容も公式情報では確認し切れていないため、当日のメンバー発表を踏まえて見る必要がある。
キックオフ後は、次の三つを追いたい。
- 藤枝の攻撃:パスで前進したあと、徳島の守備を崩してシュートへ進めるか。
- 徳島の攻撃:藤枝の前からのプレスを越え、前線がゴールへ向かえる状況をつくれるか。
- 攻守の切り替え:藤枝がボールを失った瞬間、奪い返すのか、徳島が攻め返すのか。
この試合で保持時間だけでは優位を測れないのは、藤枝が攻める最中にも徳島の攻撃の入口があるからだ。まず注目したいのは、藤枝が敵陣でパスをつないだ、その次のプレー。シュートで終えるのか、徳島に前を向かせるのかで、同じ「藤枝が持つ時間」の意味は変わってくる。
参照リンク
- Jリーグ公式:藤枝MYFC対徳島ヴォルティス・試合情報/前島芳雄氏によるプレビュー(2026年10月24日対象試合、10月23日確認。公開・更新日時の明示なし)
- 藤枝MYFC公式:徳島戦に向けた槙野智章監督・松田佳大選手のコメント(2026年10月23日公開)










