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湘南ベルマーレは1年で戻れるか 長澤徹監督の再設計で見えた「中央攻略」と終盤の強さ

湘南ベルマーレは1年で戻れるか 長澤徹監督の再設計で見えた「中央攻略」と終盤の強さ

湘南ベルマーレは3月28日の横浜FC戦を前に、Jリーグ公式プレビュー上で3位につけている。3月14日のモンテディオ山形戦を2-1で制し、直近6試合で5勝1敗という形まで持ち直した。結論から言えば、長澤徹監督の新体制は単なる勢いではなく、3バック基調の配置と中央攻略、そして終盤の交代策で勝点を積む輪郭が見え始めている。ただし、保持量の多さが常に決定機の質へ直結しているわけではなく、3月28日の横浜FC戦はこの再建が本物かを測る試金石になる。

目次

何が起きているのか

湘南は2025年12月10日に長澤徹監督の就任を発表し、2026シーズンを再出発の年に位置づけた。2月5日には武田将平がキャプテンに決まり、クラブとしては2月20日にRIZAPスポーツパートナーズ保有株をフジタを代表とする共同出資者へ譲渡する決議も公表している。ピッチ内外ともに「立て直し」が明確なテーマになっている。

リーグ戦では、3月8日時点のJリーグ公式順位表で湘南はEAST-Aの3位、5試合で10得点4失点。得失点差はプラス6だった。さらに3月14日の山形戦では22本のシュート、12本のCKを記録し、90+6分の田村蒼生の決勝点で2-1勝利。数字だけを見ても、押し込み続ける時間は増えている。

一方で、3月7日のベガルタ仙台戦は1-1からPK戦負け。シュート数は11対10でほぼ互角だったが、首位候補相手に試合を支配し切るところまでは届かなかった。つまり湘南は、下位相手に押し切る段階から、強い相手にも90分で勝ち切る段階へ進めるかが問われている。

日付相手結果目立った数字
2026年3月7日ベガルタ仙台1-1、PK戦負けSH 11-10
2026年3月14日モンテディオ山形2-1勝利SH 22-4、CK 12-2
2026年3月28日横浜FC試合前公式プレビュー時点で湘南3位、横浜FC4位

戦術面で見えた3つの前進

1. 3-4-2-1を土台に中央へ差し込む形が整理されてきた

外形上は3-4-2-1だが、前から奪いに行く局面では3-4-3、守備ブロックでは5-4-1に近い可変が見える。仙台戦を分析した外部レポートでも、湘南はアンカー脇や中盤脇のスペース、いわゆるハーフスペースを狙って前進しようとしていたと整理されている。

ここで軸になっているのがアルトゥール・シルバだ。長澤監督が大宮時代を含めて特性を把握している選手で、仙台戦では同点弾も記録。単なる配球役ではなく、前進の中継点とフィニッシュ局面の両方に顔を出せるため、湘南の攻撃に厚みが出ている。

2. 保持の量だけでなく、押し込みの回数が増えている

山形戦の22本シュートは、現時点の湘南を説明するうえで分かりやすい数字だ。相手を押し込み、CKを12本獲得し、終盤まで試合を自陣に引き戻させなかった。これは単なる終盤の根性論ではなく、試合の多くを相手陣で進めた結果でもある。

ただし、保持とシュート数が多い試合でも、前半から一気に決め切る安定感はまだ十分ではない。仙台戦も山形戦も、試合を優勢に進めながら終盤にもつれる展開になった。湘南は「押し込めるチーム」にはなりつつあるが、「早い時間に仕留めるチーム」へ進化するにはもう一段必要だ。

3. 交代策が勝点に直結し始めた

山形戦では62分に田村蒼生と渡邊啓吾、75分に加瀬直輝と太田修介を投入し、最後は田村が決勝点を決めた。仙台戦でも後半途中からの交代で流れを押し戻し、アルトゥール・シルバの同点弾につなげている。

長澤監督就任時のコメントは「一試合ずつ結果にこだわる」というものだったが、現在の湘南は先発11人だけでなく、途中投入の役割分担まで含めて勝点3へ寄せる設計が少しずつ見えてきた。武田将平を主将に置いたのも、試合運びとチーム全体の整理を重視する意図とつながって見える。

立場ごとの見方

監督・クラブの視点

クラブは長澤監督の就任時から、結果への執着を前面に出してきた。トップチームのフィロソフィでも、勝点3の確率を高めるために「湘南スタイル」を追求する姿勢を示している。いまの湘南は、理想先行ではなく、昇格争いを戦い切るための実務的な再設計に入っていると言える。

選手の視点

主将の武田将平は、チーム全員でまとまり、勝利と成長を追い求める集団にしたいという趣旨を公式に語っている。実際、湘南の序盤戦は新加入選手と既存戦力の役割整理が比較的早く進んだ。アルトゥール・シルバ、武田、田村蒼生、石井久継といった中盤から前線の組み合わせは、その象徴だ。

分析者・メディアの視点

外部の分析レポートでは、仙台戦の湘南について、3-4-2-1を土台にハーフスペースを使って前進しようとする意図が見えた一方、ビルドアップの精度にはまだ改善余地があると指摘されている。別のメディアでも、長澤監督の下でチームが再生過程にあり、アルトゥール・シルバがその中心になっているとの見方が出ていた。

要するに、外から見た湘南は「かなり形になってきたが、完成はまだ先」という評価に近い。これはポジティブでもあり、同時に今後の相手が対策を進めてきた時に試される部分でもある。

サポーター目線

ここは公式コメントと試合内容からの推測になるが、湘南のサポーターが求めているのは、単なる勝点の積み上げだけではないはずだ。J1復帰を狙う以上、勝ちながらも湘南らしい前進性や運動量、終盤まで落ちない熱量を見せられるかが重要になる。今の湘南は、その期待にかなり近づいているが、まだ完全には到達していない。

3月28日の横浜FC戦で見るべきポイント

横浜FCはJリーグ公式プレビュー時点で4位、3勝3敗。序盤は波があり、3月1日の栃木SC戦では0-4で敗れた一方、3月8日の八戸戦は1-1からPK戦を制している。つまり、脆さもあれば、試合を立て直す経験値もある相手だ。

湘南目線の注目点は3つある。

  1. アルトゥール・シルバを経由する中央前進を、横浜FCの中盤がどこまで消せるか。
  2. 山形戦のような押し込みを再現した時に、先制点をより早く取れるか。
  3. 交代カードを切った後も、前向きな圧力を保ったまま試合を閉じられるか。

この試合で湘南が90分勝ちを収めるなら、序盤の好スタートはかなり本物に近づく。逆に、保持しても崩し切れず、相手のカウンターやセットプレーに苦しむようなら、現状はまだ「再建の第一段階」と整理するのが妥当だろう。

まとめ

3月27日時点での湘南ベルマーレは、降格クラブの重圧に押しつぶされず、むしろ再設計の方向性を早い段階で示せているチームだ。長澤徹監督の下で、3バックの可変、中央攻略、途中出場組の機能、そして主将・武田将平を中心にした集団整理が、ひとまず噛み合っている。

ただし、昇格候補として本当に怖いチームかどうかは、押し込んだ試合を90分で仕留める精度が備わってからだ。横浜FC戦は、その境目を見極めるにはちょうどいい一戦になる。

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