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アルジェリア代表は2026年W杯で何を武器にするのか マフレズ、アイト・ヌーリ、ペトコヴィッチ体制から読む現在地

アルジェリア代表は2026年W杯で何を武器にするのか マフレズ、アイト・ヌーリ、ペトコヴィッチ体制から読む現在地

アルジェリア代表を見る入口は、リヤド・マフレズだけでは足りない。2026年ワールドカップに戻ってきたチームの芯は、右サイドの創造性、左サイドの推進力、そしてヴラディミル・ペトコヴィッチ監督が求める現実的な試合運びの組み合わせにある。

FIFAはアルジェリアがアフリカ予選グループGを突破し、2014年以来となる本大会出場を決めたと伝えている。CAFも、ソマリア戦の3-0勝利で勝ち点22に到達し、首位通過を確定させたと整理している。

  • アルジェリアは2026年W杯グループJでアルゼンチン、ヨルダン、オーストリアと対戦する
  • 監督は元スイス代表監督のヴラディミル・ペトコヴィッチ
  • 主軸はリヤド・マフレズ、ラヤン・アイト・ヌーリ、イスマエル・ベナセル、ラミ・ベンセバイニ、アイサ・マンディら
  • 強みは個の打開と欧州クラブ経験者の多さ。不安材料は、強豪相手に守備の距離感を保てるかどうか
  • 日本の読者にとっては、北アフリカ勢の「個で運べるサイド」とどう向き合うかを見る材料になる
目次

何が起きているか 12年ぶりの本大会復帰

アルジェリアは、2014年ブラジル大会でベスト16に進んで以来、ワールドカップ本大会から遠ざかっていた。2026年大会では、アフリカ予選グループGを首位で通過し、再び世界大会の舞台に戻る。

予選突破を決めた試合は、2025年10月9日のソマリア戦だった。CAFはこの試合を3-0の勝利と伝え、モハメド・エル・アミン・アムーラが2得点、マフレズが1得点を挙げたと整理している。

ここがポイント: アルジェリアは「復帰組」だが、初出場国のような未知数のチームではない。欧州主要リーグ、湾岸リーグ、国内リーグに選手が分散し、経験値と個人能力を同時に持って本大会へ入る。

FIFAの大会ページでは、アルジェリアはグループJに入り、アルゼンチン、ヨルダン、オーストリアと同組になっている。初戦から前回王者アルゼンチンと当たるため、入り方はかなり難しい。

主な日程は次の通りだ。

  • 6月16日: アルゼンチン vs アルジェリア(カンザスシティ)
  • 6月22日: ヨルダン vs アルジェリア(サンフランシスコ・ベイエリア)
  • 6月27日: アルジェリア vs オーストリア(カンザスシティ)

アルゼンチン戦で耐えるだけになれば、ヨルダン戦とオーストリア戦に重い勝ち点計算が残る。逆に初戦で速攻やセットプレーから得点の匂いを出せれば、グループ全体の見え方は変わる。

ペトコヴィッチ体制の骨格 派手さよりも試合を壊さない設計

ペトコヴィッチ監督は、スイス代表を率いて主要大会を経験した指揮官だ。FIFAは、アルジェリアサッカー連盟が2024年に同監督の就任を発表したと伝えている。

この経歴が意味するのは、アルジェリアが単に前線の才能に任せるチームではなく、相手や時間帯に応じて現実的に戦う方向へ寄っていることだ。

右はマフレズ、左はアイト・ヌーリ

攻撃の名前として最も分かりやすいのはマフレズだ。CAFの大会用リストでは背番号7、ポジションはFW、所属はアル・アハリ・ジッダと記載されている。かつてレスター・シティやマンチェスター・シティで見せた左足の質は、今も相手守備に選択を迫る。

ただし、2026年のアルジェリアをマフレズ中心だけで見ると実像を外す。左サイドにはラヤン・アイト・ヌーリがいる。CAFリストでは背番号15、DF、マンチェスター・シティ所属。低い位置から運べる左サイドバック型の選手がいることで、アルジェリアは右だけに攻撃を寄せずに済む。

この左右差が、チームの見どころだ。

  • 右: マフレズがボールを受け、カットインやラストパスで局面を作る
  • 左: アイト・ヌーリが前進し、相手の中盤と最終ラインの間にズレを作る
  • 中央: ベナセル、ゼルキ、ブダウィ、ゾルガンらが試合のテンポを整える

マフレズの一発に頼る時間帯はある。それでも、左から前進できる形を保てるなら、相手は守備の基準を片側に固定できない。

守備の経験値はあるが、走らされる展開は怖い

後方にはアイサ・マンディ、ラミ・ベンセバイニ、モハメド・アミン・トゥガイ、ジャウエン・ハジャムらが名を連ねる。CAFリストでは、マンディはLOSCリール、ベンセバイニはボルシア・ドルトムント、ハジャムはヤングボーイズ所属とされている。

経験値はある。だが、グループJで問われるのは、名前の強さよりも距離感だ。

アルゼンチン相手に中盤が引き出される。オーストリア相手にテンポを上げられる。ヨルダン相手にボールを持たされ、カウンターを受ける。そうした局面で、センターバックとサイドバックの間、アンカー脇、逆サイドの戻りが乱れると、アルジェリアの強みであるサイド攻撃がそのままリスクにもなる。

主力選手をどう見るか 名前より役割で整理する

最終メンバーは大会前後の負傷対応で変わる可能性があるが、FIFAは2026年大会の最終登録リストが公表されたと発表している。CAFのアルジェリアリストにも、背番号、ポジション、所属クラブが整理されている。

ここでは、初めてアルジェリアを見る読者向けに、役割ごとに押さえたい選手を分ける。

試合を決める側の選手

リヤド・マフレズは、相手が警戒しても消しきれない左足を持つ。ボール保持で落ち着かせる時間も、右サイドから一気にゴールへ向かう時間も作れる。アルジェリアが格上相手に勝ち点を拾うには、少ないチャンスを質に変える役割が欠かせない。

モハメド・エル・アミン・アムーラは、予選突破を決めたソマリア戦で2得点を挙げた選手として名前が残る。CAFリストではヴォルフスブルク所属のFW。背後を取る動きや速い攻撃で生きるタイプとして、本大会でも相手最終ラインを押し下げる役割が期待される。

アミーヌ・グイリも前線の重要候補だ。CAFのAFCONメディアガイドでは注目選手として扱われ、現所属はオリンピック・マルセイユとされている。中央とサイドを行き来できる選手がいると、マフレズが外で孤立しにくい。

試合をつなぐ側の選手

中盤では、イスマエル・ベナセルの状態が大きい。CAFリストでは背番号10、MF、GNKディナモ・ザグレブ所属。かつてACミランで高い評価を得た選手で、ボールを受ける位置と前進の判断がチームの呼吸を左右する。

ラミズ・ゼルキ、ヒシャム・ブダウィ、アデム・ゾルガンも、中盤の選択肢として重要だ。相手が前から来るなら逃がす。守る時間が長いならセカンドボールを拾う。アルジェリアが単発のカウンターだけで終わらないためには、この層が試合をつなぐ必要がある。

後ろで支える側の選手

GKではアントニー・マンドレア、ウサマ・ベンボット、ルカ・ジダンがCAFリストに入っている。FIFAの記事でもルカ・ジダンの選出が見出し級で扱われたが、注目度と序列は分けて見るべきだ。大会で誰がゴールを守るかは、直前のコンディションと監督判断が大きい。

DF陣では、マンディとベンセバイニの経験が基準になる。アイト・ヌーリを高い位置で使うなら、逆サイドやセンターバックのカバーがより重要になる。ここは派手ではないが、アルジェリアの勝ち点に直結する部分だ。

強みと不安材料 突破の鍵は「サイドの質」を守備で失わないこと

アルジェリアの強みは分かりやすい。前線とサイドに個で前進できる選手がいて、欧州クラブで戦う選手も多い。相手が少しでも守備の距離を誤れば、マフレズ、アイト・ヌーリ、アムーラ、グイリが一気に局面を変える。

一方で、不安材料も同じ場所にある。サイドバックが上がる、ウイングが内側に入る、中盤がサポートに寄る。その瞬間にボールを失えば、逆方向へ大きく走らされる。

アルジェリアの本大会での注目点は、次の3つに絞れる。

  • マフレズが低い位置まで下がりすぎず、相手ゴールに近い位置で受けられるか
  • アイト・ヌーリの攻撃参加を、後方の選手がどう支えるか
  • ベナセルら中盤が、守備時間の長い試合でボールを落ち着かせられるか

アルゼンチン戦では、相手に押し込まれる時間が長くなる可能性が高い。そこで完全に受け身になると、マフレズやアムーラの走る距離が伸び、攻撃の鋭さが落ちる。逆に、奪った直後の最初のパスを丁寧につなげれば、数回の前進だけでスタジアムの空気を変えられる。

日本の読者が見る意味 北アフリカ勢の「横幅と個」にどう対処するか

アルジェリアは日本代表と同組ではない。それでも、日本の読者が見る価値はある。理由は、現代の代表戦で日本がぶつかる課題を、アルジェリアがはっきり示しているからだ。

Jリーグや日本代表の文脈で言えば、特に参考になるのはサイドの守り方だ。

  • 左右どちらかに個の強い選手がいる相手に、SBとWGだけで対応しない
  • 相手SBの前進に対して、インサイドハーフがいつ出るかを決める
  • 奪った後、最初のパスを雑に蹴らず、相手の再プレスを外す
  • ベテランの創造性を消すだけでなく、周囲の受け直しも同時に管理する

マフレズ級の選手を完全に止めるのは難しい。だからこそ、1対1の勝敗だけでなく、受ける位置、利き足に入る角度、サポートの距離を削る必要がある。これはJリーグの試合でも、代表戦でも変わらない。

アルジェリアを見ると、個の力と組織の間にある細かい調整が見えやすい。スター選手がいるチームほど、その選手の足元だけでなく、周囲がどの距離で支えているかを追うと試合が読みやすくなる。

グループJの現実的な見通し

アルジェリアにとって、初戦のアルゼンチン戦は最も難しい。ここで勝ち点を取れれば大きいが、現実的には内容と失点差も重要になる。

本命視されるアルゼンチン、欧州の強度を持つオーストリア、初出場で勢いのあるヨルダン。相手のタイプはかなり違う。

  • アルゼンチン戦: 守備ブロックの集中とカウンターの質
  • ヨルダン戦: ボールを持つ時間の使い方と、焦らない崩し
  • オーストリア戦: 中盤の強度、セカンドボール、試合終盤の体力

最も避けたいのは、初戦で消耗し、2戦目で勝ち点を落とし、最終戦を苦しい条件で迎える流れだ。アルジェリアが上に進むには、ヨルダン戦を単なる「勝たなければならない試合」にせず、自分たちの攻撃の形を確認する試合にできるかが鍵になる。

今後の注目点

大会直前から本番にかけては、メンバー表の名前よりも、実際の配置を見たい。

  • マフレズを右に固定するのか、内側で受ける時間を増やすのか
  • アイト・ヌーリの位置をどこまで高くするのか
  • ベナセルを中心に中盤を組むのか、守備強度を優先するのか
  • GKの起用は経験重視か、直近の状態重視か
  • アルゼンチン戦後に、ヨルダン戦へどれだけ修正できるか

アルジェリアは、優勝候補として大会に入るチームではない。だが、相手が少し緩めれば、サイドの個と前線のスピードで試合を動かせるチームだ。グループJで見るべき最初のポイントは、マフレズの左足そのものではなく、その左足をゴールに近い場所で使わせるために、周囲がどれだけ走り、どれだけ守れるかにある。

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