3戦全勝で終えた飯綱高原キャンプ いわきFCが開幕前の12日間で積み上げたもの
いわきFCは2026年7月1日から12日まで、長野県長野市の飯綱高原で2026/27シーズンのトレーニングキャンプを実施した。
最大の成果は、トレーニングゲーム3試合をすべて勝利し、計10得点・2失点で終えたことだ。大学勢との30分×2本から始め、最終日にAC長野パルセイロとの45分×2本へ移行。負荷を上げながら実戦時間を伸ばし、J2開幕へつなげる流れが組まれていた。
- 期間:2026年7月1日(水)〜12日(日)
- 拠点:長野県長野市・飯綱高原南グラウンド
- 実戦:新潟経営大学、松本大学、AC長野パルセイロと対戦
- 結果:3勝、計10得点・2失点
- 次の公式戦:8月9日(日)のJ2第1節・FC今治戦
12日間の日程は「鍛える日」と「試す日」が明確だった
キャンプは午前・午後の二部練習と3度の実戦を交互に置き、強化と確認を繰り返す構成だった。
クラブが6月25日に公表した日程では、7月1日の歓迎セレモニー後に最初のトレーニングを実施。2、3、6、7、10日は午前練習に加え、午後に通常練習または非公開のストレングストレーニングが設定された。
実戦は次の3試合だった。
- 7月5日:新潟経営大学戦(30分×2本、長野Uスタジアム)
- 7月9日:松本大学戦(30分×2本、千曲川リバーフロントスポーツガーデンDピッチ)
- 7月12日:AC長野パルセイロ戦(45分×2本、長野Uスタジアム)
最初の2試合は計60分、最後は公式戦と同じ計90分。試合時間だけを見ても、キャンプ終盤へ向けて実戦負荷を段階的に高めたことが分かる。
練習とトレーニングゲームは原則一般公開とされた一方、午後の一部メニューは非公開だった。ファンサービスは7月4日のみ。クラブは予定変更や非公開への切り替えもあり得るとして、来場前に公式スケジュールを確認するよう案内していた。
飯綱高原を選んだ理由は「高原で鍛え、市街地で戦う」ため
今回の開催地には、冷涼な高原でトレーニングし、設備の整った市街地で実戦を行える利点があった。
飯綱高原南グラウンドは標高1,000メートルを超える場所にある。一方、長野市中心部からは車で約25分。クラブは2月の開催地決定時に、この地理を生かして高原で練習し、市街地で練習試合を行う「ハイブリッド型」のキャンプが可能だと説明していた。
株式会社いわきスポーツクラブの大倉智代表取締役も、飯綱高原について、冷涼で標高が高く、高密度のトレーニングと質の高いリカバリーを両立できる環境だとコメントしている。
これは、フィジカル強化を掲げるいわきFCにとって重要な条件だった。暑さへの対応だけで消耗するのではなく、二部練習やストレングストレーニングに集中できる。そのうえで、長野Uスタジアムなどへ移動して実戦の強度を確かめられるからだ。
ここがポイント: 飯綱高原キャンプは避暑だけが目的ではない。高原でのトレーニング、回復、市街地での実戦を一つの期間に組み込めることが、開催地選定の核心だった。
3試合10得点、しかも試合時間を延ばしながら勝ち切った
結果面では、得点を重ねながら最終戦まで勝利を継続できたことが最も明確な収穫だ。
新潟経営大学戦は無失点でスタート
7月5日の新潟経営大学戦は4-0。1本目を1-0、2本目を3-0で終えた。
キャンプ最初の実戦で失点せず、後半の30分に得点数を増やした点は押さえておきたい。ただし、クラブ発表には出場選手や得点者、具体的な配置が掲載されていないため、個人の評価や戦術的な成功まで断定することはできない。
松本大学戦では初失点後も差を広げた
7月9日の松本大学戦は3-1。1本目は1-0、2本目は2-1だった。
無失点では終えられなかったが、両セットで得点し、合計スコアでは2点差をつけた。最初の試合とは異なる展開で勝利を収めたことに意味がある。
AC長野パルセイロ戦で90分を完遂
キャンプ最終日の7月12日には、公開トレーニングゲーム「IIZUNA Highland Camp Cup 2026」でAC長野パルセイロと対戦。いわきFCが3-1で勝利した。
1本目は2-1、2本目は1-0。大学勢との試合より30分長い45分×2本で、後半も無失点だった。大会は長野市と長野市開発公社が主催し、入場無料で開催された。
3試合の結果をまとめると、次の通りだ。
- 新潟経営大学戦:4-0
- 松本大学戦:3-1
- AC長野パルセイロ戦:3-1
- 合計:3勝、10得点・2失点
練習試合の結果を公式戦の強さへそのまま置き換えることはできない。対戦相手も試合時間も異なり、起用されたメンバーの詳細も公表されていないからだ。
それでも、すべての試合で複数得点を記録し、計6本のうち4本を無失点で終えたことは確認できる。キャンプの負荷が蓄積する終盤に、Jクラブを相手に90分で勝ったことも前向きな材料だ。
個人評価より、チーム全体の競争をどう開幕メンバーへ落とし込むか
現段階で注目すべきなのは特定選手の序列ではなく、キャンプで試した組み合わせが開幕戦の起用へどう反映されるかだ。
クラブが公表したキャンプ案内と3試合の結果には、参加メンバー、出場時間、得点者の記載がない。したがって、ポジション争いの勝者や新加入選手の適応度を結果だけから決めつけるのは早い。
一方、田村雄三監督の体制は継続している。クラブは2025年12月、田村監督が2026/27シーズンまで指揮を執ると発表した。監督は契約更新時、新シーズンに向けてクラブの「WHY」を改めて追求し、磨き上げる考えを示している。
継続体制だからこそ、キャンプの論点はゼロから戦術を作ることだけではない。
- 既存のプレーモデルをどこまで高い強度で再現できるか
- 新しい編成の中で選手同士の連係を早く構築できるか
- 連戦や負傷に備え、複数の組み合わせを用意できるか
- 90分を通じて強度を維持できるか
公式発表だけでは、それぞれの到達度までは分からない。3戦全勝は答えではなく、開幕メンバーを絞るための材料と見るべきだ。
キャンプの成果はJ2開幕後に初めて測れる
最初の検証機会は、8月9日にホームで行われるFC今治とのJ2開幕戦だ。
2026/27明治安田J2リーグは、いわきFCにとってキャンプ終了から約4週間後に始まる。第1節は8月9日18時、ハワイアンズスタジアムいわきでFC今治と対戦。続く第2節は8月15日18時30分、藤枝総合運動公園サッカー場で藤枝MYFCと戦う。
キャンプ後から開幕まで間隔があるため、飯綱高原で作った土台を維持しつつ、対戦相手に合わせた準備へ移る期間になる。
開幕後に見るべきポイントは明確だ。
- 複数得点を続けた攻撃がJ2の公式戦でも機能するか
- キャンプ3試合で計2失点だった守備を90分維持できるか
- 先発だけでなく交代選手が試合強度を保てるか
- 夏場の連戦で選手層を生かせるか
飯綱高原での3勝は、良いスタート地点になった。ただし、本当の評価はスコアではなく、FC今治戦で誰が起用され、いわきFCらしい強度を公式戦の90分へ持ち込めるかで決まる。
参照リンク
- いわきFC公式「2026/27シーズン トレーニングキャンプについて」(2026年6月25日)
- いわきFC公式「2026/27シーズン トレーニングキャンプ地が長野県長野市(飯綱高原)に決定」(2026年2月17日)
- いわきFC公式「7/5(日) トレーニングゲーム vs新潟経営大学 結果」(2026年7月5日)
- いわきFC公式「7/9(木) トレーニングゲーム vs松本大学 結果」(2026年7月9日)
- いわきFC公式「7/12(日) トレーニングゲーム vs AC長野パルセイロ 結果」(2026年7月12日)
- いわきFC公式「IIZUNA Highland Camp Cup 2026 vs AC長野パルセイロ」(2026年6月25日)
- いわきFC公式「田村雄三監督 契約更新のお知らせ」(2025年12月1日)
- いわきFC公式「2026/27 明治安田J2リーグ 試合日程が決定(第1節〜第22節)」(2026年7月1日)
