連勝街道のいわきFC、その勢いは本物か?
結論から言えば、いわきFCの勢いはかなり本物に近い。ただし、無傷の独走ではない。PK戦勝ちを含む6連勝で首位を守っている一方、福島ユナイテッドFC戦は2失点、松本山雅FC戦は2-2からのPK勝ち。強さは出ているが、試合を完全に支配し切っているわけではない。
4月12日の福島ダービーでは、開始6分に先制されながら山中惇希、西谷亮、加藤大晟の得点で3-2と逆転勝利。シュート数は福島の9本に対していわきが19本、CKも5対8でいわきが上回った。結果だけでなく、押し返す力も数字に出た試合だった。
- いわきは第10節で福島に3-2勝利
- 公式ニュースは「6連勝で首位キープ」と伝えている
- 第9節終了時点の公式順位表ではEAST-B首位、9試合13得点7失点
- ただし6連勝にはPK戦勝ちも含まれる
- MF柴田壮介の長期離脱は、今後の大きな不確定要素
何が起きているか:6連勝はどう積み上がったのか
いわきの直近の流れは、単なる一発の快勝ではない。勝ち方の種類が増えている。
ゲキサカ掲載の日程では、3月7日のRB大宮アルディージャ戦を1-1からPK勝ちで拾い、続くヴァンフォーレ甲府戦を1-0、AC長野パルセイロ戦を3-1、ジュビロ磐田戦を1-0で勝利。4月5日の松本山雅FC戦は2-2からPK戦を制し、4月12日の福島戦も3-2で勝った。
ここで大事なのは、連勝の中身だ。
- 1-0で締める試合がある
- 3点を取って勝ち切る試合がある
- PK戦にもつれた試合を落としていない
- 先制されても逆転できる
第9節終了時点のJリーグ公式順位表では、いわきはEAST-Bで9試合を終えて勝点20、13得点7失点の首位。第10節の福島戦も90分で勝ったため、首位キープという評価は妥当だ。
ここがポイント: いわきの連勝は「圧倒して全部勝っている」連勝ではなく、競った試合を落とさない連勝である。
勢いを支えるのは、得点者の分散と押し返す力
福島戦の3得点は、山中惇希、西谷亮、加藤大晟が決めた。特定のエースに頼った勝利ではない。
先制されても崩れなかった
福島戦は6分に田中慶汰に先制を許した。ここで試合が難しくなっても、30分に山中、44分に西谷が決めて前半のうちにひっくり返した。さらに70分には途中出場の加藤が追加点を奪っている。
終盤に芦部晃生の得点で1点差に迫られたが、そこから同点にはさせなかった。内容面で見れば、いわきは19本のシュートを放ち、攻撃の回数でも福島を上回った。
これは大きい。勝ち点を積むチームは、良い時間帯だけでなく、悪い入りや終盤の圧力を受けた時間も処理しなければならない。いわきは少なくとも福島戦で、その条件を満たした。
クラブの色と結果がつながり始めている
いわきFCは公式サイトで「90分間止まらない、倒れない。前へと走り続け、ボールを奪い、ゴールを決める」というフットボールを掲げている。福島戦の数字だけで戦術を断定することはできないが、19本のシュート、先制された後の逆転、終盤の逃げ切りは、その方向性と矛盾しない。
勢いが本物に見える理由は、ここにある。クラブが掲げてきた強度や前向きな姿勢が、今は勝点に変わっている。
不安材料:柴田壮介の離脱は軽くない
一方で、懸念もはっきりしている。MF柴田壮介が4月5日の松本戦で負傷し、右膝前十字靱帯損傷、右膝外側半月板損傷で全治6か月程度と発表された。
柴田は開幕戦の北海道コンサドーレ札幌戦で決勝点を挙げた選手でもある。中盤から前へ出ていく動き、ボール奪取後に攻撃へつなげる役割を考えると、単に「1人欠けた」では済まない。
今後問われるのは、次の3点だ。
- 柴田不在で中盤の前進力を誰が担うか
- 途中出場組の得点関与を継続できるか
- 1点差ゲームを続けたとき、守備の集中を保てるか
福島戦では加藤大晟が途中出場から得点した。これは好材料だ。ただ、長いシーズンで見るなら、代役が1試合で点を取ったことと、柴田の穴をチームとして埋め続けることは別の問題になる。
周辺の見方:首位評価と慎重論は両方ある
Jリーグ公式は第10節のサマリーで、いわきがダービーを制して6連勝、首位をキープしたと伝えた。結果面の評価は明確だ。
一方で、慎重に見る材料もある。第9節の松本戦はPK戦勝ちで、福島戦も2失点。勝ち続けているとはいえ、相手を寄せつけない試合ばかりではない。
サポーター目線では、ダービーを勝ち切った事実は大きい。福島に先制され、終盤にも追い上げられた試合を落とさなかったことは、勢いをさらに強める。ただし、分析目線では「6連勝」という言葉だけで独走と見るより、接戦を拾う勝負強さがどこまで続くかを見たほうがいい。
次に見るべき試合:長野、札幌、岐阜で再現性が問われる
いわきの次の公式戦予定は、4月19日にホームでAC長野パルセイロ戦、4月25日にアウェイで北海道コンサドーレ札幌戦、4月29日にホームでFC岐阜戦。ここは勢いの確認にちょうどいい並びだ。
特に見るべきポイントは短く整理できる。
- 長野戦: 首位チームとして取りこぼさず勝てるか
- 札幌戦: 開幕戦で1-0勝利した相手に、敵地でも同じ強度を出せるか
- 岐阜戦: 上位争いの直接的な圧力がかかる中で、勝点を削られないか
現時点のいわきは、勢いだけで走っているチームではない。接戦を勝点に変える力、得点者の広がり、先制されても戻せる攻撃回数がある。
ただし、本物かどうかの最終判断はここからだ。柴田不在の中で連戦を乗り切り、1点差の試合を勝ち続けられるなら、いわきの首位は一時的な波ではなく、EAST-Bの基準点になる。
