後半アディショナルタイム7分。スコアボードは2-3、リードしていたのは鹿島アントラーズだった。ペドロ ホマーノの得点で追いつき、等々力の試合は3-3で終わった。
シュートは川崎フロンターレが24本、鹿島が13本。枠内は11本対7本。シュート総数と枠内シュート数で上回ったホームチームが、勝点3を持ち帰れなかった。逆に鹿島は、半分程度の試行回数で3得点を挙げながら、最後の数分でリードを失っている。
この記事で追う問いは1つだけ。シュート数で大きく上回った川崎が勝ちきれず、少ない機会で3点を取った鹿島も勝てなかった。その差はどこで生まれたのか。
ここがポイント: 川崎はシュート本数、鹿島は枠内シュートの割合で上回った。得点経過は一度の川崎のリードと二度の鹿島のリードを経て、3-3に落ち着いた。
この記事で分かること
- 明治安田J1リーグ 2026 第8節、川崎F対鹿島の公式記録(得点・交代・警告)の全体像
- シュート24対13、枠内11対7という数字と3-3のスコアをどう読み分けるか
- 鹿島のハーフタイム3枚替え、川崎の終盤の交代と得点の前後関係
- 3失点した両チームに残る、それぞれ別種の課題
公式記録で確認できた試合の骨格
まず土台を固める。以下はすべてJリーグ公式の試合記録に基づく。
- 大会・節: 明治安田J1リーグ 2026 第8節
- 開催日: 2026年9月19日(土)18:00キックオフ
- 会場: Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
- 最終スコア: 川崎フロンターレ 3-3 鹿島アントラーズ
得点経過
| 時間 | 得点者 | チーム | スコア(川崎F-鹿島) |
|---|---|---|---|
| 44分 | レオ セアラ | 鹿島アントラーズ | 0-1 |
| 45+3分 | マルシーニョ | 川崎フロンターレ | 1-1 |
| 54分 | 伊藤 達哉 | 川崎フロンターレ | 2-1 |
| 67分 | レオ セアラ | 鹿島アントラーズ | 2-2 |
| 83分 | 松村 優太 | 鹿島アントラーズ | 2-3 |
| 90+7分 | ペドロ ホマーノ | 川崎フロンターレ | 3-3 |
前半に2得点、後半に4得点が記録された。得点者と時刻は上の表の通り。
交代
鹿島はハーフタイムで3人を同時に替えた。
- 鹿島(後半開始時): マテウス ブエノ→柴崎 岳、津久井 佳祐→三竿 健斗、徳田 誉→チャヴリッチ
- 鹿島(70分): 小池 龍太→広瀬 陸斗
- 鹿島(82分): 鈴木 優磨→ヤン マテウス
- 川崎(68分): マルシーニョ→長 璃喜
- 川崎(83分): デリキ ラセルダ→持山 匡佑
- 川崎(86分): 伊藤 達哉→家長 昭博、橘田 健人→河原 創
交代の使い方が対照的だった。鹿島は後半開始時点で3選手を入れ替え、川崎は68分以降に小刻みに動かしている。
警告
- 川崎: 山本 悠樹(37分)、デリキ ラセルダ(43分)、ペドロ ホマーノ(90+1分)、伊藤 達哉(90+8分)
- 鹿島: 三竿 健斗(選手・60分)、鬼木 達(監督・28分)、中後 雅喜(コーチ・90+9分)
公式記録では、選手への警告は川崎が4件、鹿島が三竿健斗の1件。鹿島の鬼木 達監督(28分)と中後 雅喜コーチ(90+9分)への警告は、選手への警告と別枠で掲載されている。退場者はいない。
数字は「量の川崎」と「効率の鹿島」を示している
主要スタッツを並べると、支配率やパス成功率の差は小さく、シュート本数には差がある。表はJリーグ公式の試合終了表を採用した。
| 項目 | 川崎フロンターレ | 鹿島アントラーズ |
|---|---|---|
| シュート | 24 | 13 |
| 枠内シュート | 11 | 7 |
| 支配率 | 52% | 48% |
| パス成功率 | 83% | 81% |
| コーナーキック | 3 | 2 |
※公式の試合終了表と試合速報本文で川崎のシュート数の表示が異なる。この記事は試合終了表の値に統一した。パス成功率は公式の丸め表示を採用した。
支配率52対48が意味すること
ボール保持は互角に近い。川崎がボールを長時間持って一方的に押し込んだ試合ではない。支配率わずか4ポイント差で、シュート本数は約1.85倍。川崎はボールを持つ時間の割に、シュートに到達する回数が多かったと読める。
一方の鹿島は13本のうち7本を枠内に飛ばしている。枠内率は約54%で、川崎の約46%を上回る。そして枠内7本から3得点。
「同じ3点」に至る道筋が違う
同じ3得点でも中身が違う。川崎は枠内11本から3点、鹿島は枠内7本から3点。数字だけを見れば鹿島のほうが少ない試行で得点に結び付けている。
ただし、これを「決定力の差」で片付けるのは早い。コーナーキックは3対2でほぼ同数、パス成功率も2ポイント差。これらの集計だけでは、各シュートの位置や守備圧力、攻撃の組み立て方までは分からない。シュート本数の差が生まれた戦術的な原因を、この数値だけで断定することはできない。
何が差になったのか:3つの対抗関係
スコアの推移を追うと、川崎は一度リードし、鹿島は二度リードした。いずれも最終的には追いつかれた。シュート本数の差だけでは、この経過を説明できない。
対抗関係1: 川崎の試行回数 vs 鹿島の枠内精度
川崎は24本のシュートを記録し、そのうち11本が枠内、3本が得点になった。
鹿島は13本のうち7本を枠内へ。レオ セアラが2得点、松村 優太が1得点した。得点者のうちレオ セアラは2ゴール。前線で1人が複数回フィニッシュまで到達できていたことは、公式記録から確認できる事実だ。
本数では川崎、枠内シュートの割合とシュート当たりの得点割合では鹿島が上回った。ただし、位置や難度を示す数値はここに含まれず、どちらの攻撃の質が高かったかは断定できない。
対抗関係2: 鹿島のハーフタイム3枚替え vs 川崎の終盤の枚数
鹿島は1-1で折り返した直後、3人を同時に投入した。マテウス ブエノ、津久井佳祐、徳田誉を下げ、柴崎岳、三竿健斗、チャヴリッチを入れる。中盤の構成と前線の枚数に同時に手を入れる、大きな判断である。
この交代の直後に起きたのは、まず川崎の54分・伊藤達哉のゴールだった。交代と直後の得点の因果は、この記録だけでは分からない。その後、レオ セアラが追いつき、松村 優太が勝ち越した。後半開始からの3枚替え以降、鹿島は2得点している。
川崎は68分のマルシーニョから長 璃喜への交代を皮切りに、終盤に選手を入れ替えた。マルシーニョを下げて長璃喜、83分にデリキ ラセルダを下げて持山匡佑、86分には伊藤達哉と橘田健人を同時に下げて家長昭博と河原創を入れた。86分には伊藤 達哉と家長 昭博、橘田 健人と河原 創の交代があった。90+7分にはペドロ ホマーノが得点した。交代の順序と得点の前後関係は記録から追えるが、どの交代がどの得点を生んだかは記録から確定できない。
交代の時刻と得点の時刻は並べられるが、交代が得点を生んだかどうかは公開記録だけでは判断できない。
対抗関係3: 鹿島のリードと後半追加時間
83分に2-3としてから、鹿島は勝点3に最も近い位置にいた。実際に90分を越えている。だが90+7分にペドロ ホマーノの得点で追いつかれた。
このゾーンで公式記録に残っているのは、警告の並びである。
- 90+1分 ペドロ ホマーノ(川崎)
- 90+8分 伊藤 達哉(川崎)
- 90+9分 中後 雅喜(鹿島・コーチ)
90+8分、90+9分にも警告が記録されている。60分には、後半開始時に投入された三竿健斗にも警告が出た。カードの時刻だけで、プレー強度や戦術的な狙いは判断できない。
追加時間の警告は川崎に2件、鹿島に1件。両チームの狙いはこの並びだけでは特定できない。確認できるのは、90+7分に川崎のペドロ ホマーノが同点に追いついたという事実だ。
この3-3から読み取れること
引き分けが示したのは、両チームがそれぞれ別の課題を抱えたまま終わったということだ。
川崎側に残るもの
- 24本、枠内11本で3得点。シュート数と得点数の関係は確認できるが、各機会の難度は集計から分からない
- 3失点。67分はレオ セアラ、83分は松村 優太の得点でリードまたは同点の状況を手放した
- 前半37分と43分に警告が2件記録された
鹿島側に残るもの
- 少ない機会を3点に変えた。枠内7本での3得点は、この試合で最も効率の良い数字
- 2度リードを得て、2度追いつかれた。うち1度は90分を越えてから
- 鹿島の警告は選手に1件、監督とコーチに各1件。公式もスタッフへの警告を選手とは別枠で記録している
見るべき次の論点
1試合の数字でチーム力を決めることはできない。シュート24本という値も、相手の守り方によって大きく振れる。ただし、この試合で確認できた「川崎の多いシュート数と鹿島の少ないシュート数からの3得点」という組み合わせが、同じ傾向として次の試合でも現れるのかは、追って確かめる価値がある。
ハーフタイムに3人を替えた鹿島の判断が、その後の得点や失点にどこまで影響したかは、この試合の公開データだけでは分からない。確認できるのは、鹿島が二度のリードを維持できず、川崎のペドロ ホマーノが90+7分に追いついたことだ。シュート本数と枠内シュート数は川崎が上回ったが、少ないシュートで鹿島も3得点した。3-3という結果は、各チームの得点経過と集計値を分けて見る必要がある。










