沖縄から御前崎へ、ジュビロ磐田の二段階キャンプが示したもの 清水戦5得点を開幕へどうつなげるか
ジュビロ磐田は2026/27シーズンの開幕に向け、沖縄県糸満市と静岡県御前崎市で二段階の夏季キャンプを実施した。
最も目を引く成果は、キャンプ終盤の7月25日に行われた清水エスパルスとの練習試合だ。45分×4本で合計5-1。4人が得点し、井上潮音は2ゴールを記録した。ただし、これで準備が完成したわけではない。8月8日のJ2開幕戦で問われるのは、長時間の練習試合で示した攻撃の厚みを、勝点が懸かる90分へ落とし込めるかだ。
この記事で分かること
- 一次・二次キャンプの日程と開催地
- 公開練習と練習試合の位置づけ
- 沖縄SV戦と清水エスパルス戦から読み取れる変化
- 8月8日のブラウブリッツ秋田戦へ向けた注目点
22日間を二つに分けた夏季キャンプ
今回の特徴は、環境の異なる2会場を使い、準備期間を段階的に組んだことだ。
一次キャンプは7月3日から14日まで、沖縄県糸満市の西崎運動公園陸上競技場などで実施。7月15、16日のオフを挟み、二次キャンプは7月17日から26日まで静岡県御前崎市で行われた。
- 一次キャンプ:7月3日(金)~14日(火)
- 開催地:沖縄県糸満市
- 主会場:西崎運動公園陸上競技場
- 二次キャンプ:7月17日(金)~26日(日)
- 開催地:静岡県御前崎市
- 主会場:御前崎ネクスタフィールド
クラブが公表した日程では、沖縄で午前・午後のトレーニングを重ねながら、沖縄SV、アルビレックス新潟、ザスパ群馬との練習試合を設定。御前崎でも公開練習を継続し、最終盤には清水エスパルスと対戦した。
単に練習日を積み上げた日程ではない。対外試合を途中に置き、そこで表れた課題を次のトレーニングへ戻せる構成だった。
一次キャンプは糸満市でチームの土台づくり
7月3日の初日は、糸満市による歓迎式典の後に一般公開のトレーニングを実施した。クラブ公式ブログによると、秋葉忠宏監督はこの期間を、Jリーグ初の秋春制シーズンへ向けた重要な準備期間と位置づけた。
キャンプではサッカーのトレーニングだけでなく、地域交流や平和学習もテーマに含まれた。歓迎式では川島永嗣と乾貴士がチームを代表して花束を受け取っている。
この二人の名前が象徴するのは、単なる式典参加ではない。長いキャリアを持つ選手が地域との接点で前面に立つことは、新しいシーズンを始める集団に規律や責任を共有する役割も持つ。
二次キャンプは開幕を意識した仕上げの期間
御前崎では7月17日からトレーニングを再開。公開日と非公開日を組み合わせながら、開幕約2週間前まで活動を続けた。
沖縄から静岡へ移ったことで、移動を伴う長期滞在から、開幕時の生活環境に近い状態へ段階を進められる。クラブが具体的な戦術内容を公表していないため、フォーメーションやポジション争いを断定することはできない。それでも、キャンプ最終盤に45分×4本の清水戦を置いた日程からは、複数の組み合わせを長い実戦時間の中で確認する意図が見える。
沖縄SV戦の3-3が示した「途中で立て直す力」
一次キャンプ最初の対外試合では、先行された後に3本目で追いついた過程が重要だった。
7月5日の沖縄SV戦は30分×3本で行われ、合計スコアは3-3だった。
- 1本目:0-1
- 2本目:1-2
- 3本目:2-0
最初の60分では計3失点。2本目に角昂志郎が得点したものの、合計では1-3とリードを許した。それでも3本目に佐藤大樹、太田龍之介が立て続けにゴールを決め、引き分けまで戻している。
この試合だけで守備や攻撃の完成度を評価することはできない。出場メンバーや組み合わせが変わる練習試合では、合計スコア以上に各時間帯の内容を見る必要があるからだ。
一方で、二つの事実は残る。
- 最初の2本で毎回失点し、試合への入りと失点後の管理に課題が出た
- 最後の30分は無失点で2得点し、試合中に流れを変えた
キャンプ序盤に問題が出ること自体は珍しくない。大切なのは、そこで見つかったズレを約3週間後の清水戦までにどう修正したかである。
清水戦5-1、得点者の分散に見えた攻撃の厚み
キャンプの成果を最も具体的に示したのが、7月25日の清水エスパルス戦だった。
ヤマハスタジアムで行われた一戦は45分×4本。ジュビロ磐田は最初の3本をすべて無失点で制し、合計5-1で勝利した。
- 1本目:1-0(植村洋斗)
- 2本目:3-0(井上潮音、小池直矢、井上潮音)
- 3本目:1-0(ジョアン・ヴィクトル)
- 4本目:0-1
4人で5得点した意味
この試合では得点が一人に偏らなかった。植村、井上、小池、ジョアン・ヴィクトルの4人がゴールを記録している。
なかでも井上は2本目だけで2得点。チーム全体としても、最初の135分間に5点を奪った。長い試合時間の中で得点者が分散したことは、先発候補だけでなく、異なる組み合わせでもゴールへ到達できたという材料になる。
ただし、得点者の分散をそのまま攻撃の完成と見るのは早い。練習試合では相手も大幅に選手を入れ替え、コンディション調整を優先する。公式発表には各得点の組み立てやシュート数などが掲載されていないため、再現性のある形だったかは開幕後に確かめる必要がある。
守備は3本連続無失点
沖縄SV戦では最初の2本で3失点したが、清水戦では1本目から3本目まで無失点だった。対戦条件は異なるため単純比較はできないものの、キャンプ序盤と終盤の結果には明確な差がある。
一方、4本目には失点した。合計スコアが大きく開いた後も強度と集中を保てるかという点は、公式戦でリードした場面にもつながる確認事項だ。
ここがポイント: 清水戦の収穫は5得点だけではない。異なる時間帯で得点者が生まれ、最初の3本を無失点で終えたことに、キャンプ終盤の積み上げが表れた。
公開練習を多く設けたキャンプ
チームづくりと同時に、ファンや開催地との接点を広く設けたことも今回の特徴だった。
沖縄キャンプでは、非公開日やオフを除き、西崎運動公園陸上競技場で多くの練習を一般公開。沖縄SV、アルビレックス新潟との練習試合も事前申込不要で公開された。御前崎でも複数の練習日が一般公開となった。
一部の日程では抽選制のファンサービスも実施。クラブは各日25組50人とし、サインまたは写真撮影の回数、接触を伴う交流を控えることなど、参加ルールを具体的に示した。
公開範囲が広い一方で、クラブはフォーメーション、トレーニング内容、負傷による離脱状況が分かる写真や情報をウェブサイトやSNSへ掲載しないよう求めている。見学者が楽しめる環境をつくりつつ、競技上の情報を守る線引きだった。
なお、クラブはキャンプの全参加者をまとめた名簿を公表していない。公式発表で参加を確認できない選手について、個別の参加・不参加を推測することは避けたい。
秋葉忠宏監督が掲げた「勝利を当たり前に求める集団」
キャンプの評価基準は、充実した練習ができたかではなく、公式戦で勝ち切れる集団になったかだ。
Jリーグ公式サイトでは、2026年7月31日更新時点のジュビロ磐田監督として秋葉忠宏氏が掲載されている。糸満市の歓迎式では、秋葉監督が掲げる「勝利を当たり前に求める集団」という志が紹介された。
この言葉をキャンプの実戦結果に重ねると、見るべき点は明快になる。
- 先行された沖縄SV戦で追いついた粘りを、勝ち越しまでつなげられるか
- 清水戦で見せた複数得点者による攻撃を、公式戦でも再現できるか
- リードした後に無失点の時間を延ばし、試合を終わらせられるか
練習試合の勝利は勝点を生まない。それでも、開幕前に課題を露出させ、次の試合で変化を示せたことには準備期間としての価値がある。
次は8月8日、ブラウブリッツ秋田とのJ2開幕戦
キャンプの答え合わせは、8月8日のリーグ開幕戦から始まる。
ジュビロ磐田は2026/27明治安田J2リーグ第1節でブラウブリッツ秋田と対戦する。会場はヤマハスタジアム、キックオフは19時。続く第2節は8月16日、MUFGスタジアムで横浜FCとのアウェーゲームが予定されている。
開幕戦で注目したいのは次の3点だ。
- 清水戦で5得点した攻撃の分散を90分でも示せるか
- 沖縄SV戦序盤に出た連続失点を繰り返さないか
- 先制後も受け身にならず、試合を管理できるか
キャンプ中のメンバー構成や練習内容には非公開部分があるため、開幕先発を決めつけることはできない。また、日程や出場可否は今後変更される場合がある。観戦前にはクラブ公式サイトとJリーグ公式の日程を確認したい。
二段階キャンプで積み上げた時間が本物だったか。その判断材料は、清水戦の5得点ではなく、秋田戦で最初の勝点3を取れるかどうかになる。
参照リンク
- ジュビロ磐田「2026-27シーズン 夏季トレーニングキャンプ(一次/沖縄県糸満市)実施期間決定のお知らせ」(2026年5月15日)
- ジュビロ磐田「トップチームスケジュール(6月・7月)」(2026年6月25日)
- ジュビロ磐田「7/12更新:2026/27シーズン夏季キャンプスケジュールのお知らせ」
- ジュビロ磐田ブログ「沖縄県糸満市の歓迎を受け、キャンプがスタート」(2026年7月3日)
- ジュビロ磐田「7/5(日)練習試合 vs. 沖縄SV」(2026年7月5日)
- ジュビロ磐田「7/25(土)御前崎キャンプ 練習試合 vs. 清水エスパルス」(2026年7月25日)
- Jリーグ公式「ジュビロ磐田 試合日程・結果」
