好調な町田も失点数が先行しているのはなぜか?
FC町田ゼルビアは、2026年4月11日時点の明治安田J1百年構想リーグEASTで3位につけている。勝点は22。順位だけ見れば好調だ。
ただし、内訳を見ると少し引っかかる。Jリーグ公式の順位表では、町田は11試合で14得点15失点。上位にいながら得失点差はマイナス1で、失点数が得点数を上回っている。
結論から言えば、町田の失点が先行している主因は「守備が崩壊している」からではない。相手の攻撃回数は抑えている一方で、突破されたときのシュート到達率と被決定率が上がり、少ない被弾機会が失点に直結している。さらに、2026年大会特有のPK勝・PK負の勝点配分が、得失点差よりも順位を押し上げている。
- 町田はEAST3位、勝点22、14得点15失点
- 通常勝利5、PK勝3、PK負1、敗戦2で勝点を積んでいる
- Football LABでは2026年の平均失点が1.50。2024年の0.89、2025年の1.00から悪化
- 被攻撃回数は抑えているが、被チャンス構築率と被ゴール成功率が悪化している
- 次の焦点は、4月18日のFC東京戦、4月25日の東京ヴェルディ戦で守備の質を戻せるか
まず事実整理:順位は高いが、数字は少し歪んでいる
町田の現在地は、順位表と得失点を並べると分かりやすい。
Jリーグ公式の2026年4月11日更新順位表では、町田はEASTで3位。11試合を終えて5勝、3PK勝、1PK負、2敗。得点14、失点15、得失点差はマイナス1となっている。
上位3チームを比べると、町田の特徴ははっきりする。
| クラブ | 試合 | 勝点 | 得点 | 失点 | 得失点差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 鹿島アントラーズ | 9 | 23 | 16 | 5 | +11 |
| FC東京 | 11 | 23 | 16 | 8 | +8 |
| FC町田ゼルビア | 11 | 22 | 14 | 15 | -1 |
鹿島とFC東京は、得点と失点のバランスでも上位らしい数字になっている。町田は違う。勝点では肉薄しているが、失点数は15で、EAST上位の中では明らかに多い。
ここで大事なのは、町田が勝点を取れていないわけではないことだ。むしろ、接戦を落とし切らず、PK勝も含めてポイントに変えている。だから順位は高い。
一方で、得失点差はチームの安定度を映す。特に短期大会では、1試合の大崩れや終盤の1失点が順位争いに響きやすい。町田の数字は「勝てているから問題なし」とは言い切れない状態を示している。
失点が増えた理由は、被シュート数よりも“質”にある
町田の守備を雑に「緩くなった」と見ると、少しズレる。
Football LABのシーズン比較では、2026年の町田は平均失点1.50。2024年は0.89、2025年は1.00だった。ここは明確に悪化している。
ただ、同じページの被チャンス構築を見ると、2026年の町田は被攻撃回数106.0でリーグ2位。相手に何度も押し込まれ続けているチームではない。
問題は、その先だ。
- 被シュート:11.8、リーグ11位
- 被チャンス構築率:11.1%、リーグ13位
- 被ゴール:1.5、リーグ14位
- 被成功率:12.7%、リーグ14位
相手の攻撃そのものは減らせている。だが、攻撃を許した場面でシュートまで行かれ、さらにゴールへ変えられる割合が高い。
つまり、町田の失点増は「量の問題」よりも突破された瞬間の守備の質に寄っている。前から制限をかける、球際で奪う、セカンドボールを回収する。そこまでは機能していても、外された後の戻り、最終ライン前のスペース管理、クロスやこぼれ球への反応で傷が出やすい。
2024年の町田は平均失点0.89、被ゴール成功率8.0%。2025年も平均失点1.00、被ゴール成功率8.4%だった。2026年は被成功率が12.7%まで上がっている。ここが、失点数を押し上げている一番分かりやすい数字だ。
ここがポイント: 町田は相手に攻められ続けているのではなく、守備網を抜けられた後の一撃を止め切れていない。
攻撃の形も、守備の負荷に関係している
失点だけを守備陣の責任として見ると、町田の今季像を見誤る。
Football LABのチームスタイル指数を見ると、町田は2024年、2025年に比べてロングカウンター色が薄くなっている。ロングカウンター指数は2024年が70、2025年が68だったのに対し、2026年は47。自陣ポゼッションは53、ポゼッションは51で、以前よりボール保持の局面が増えている。
これは悪い変化ではない。相手を押し込める時間が増えれば、試合を支配しやすい。実際、4月11日の柏レイソル戦では、町田は17本のシュートを放ち、柏を4本に抑えて1-0で勝った。ナ・サンホの75分のゴールで勝ち切ったこの試合は、町田が主導権を握った好例だ。
ただし、保持する時間が増えると、ボールを失った瞬間のリスクも変わる。
前進した後のロストが失点リスクになる
ロングカウンター主体なら、攻撃は早く終わる。良くも悪くも、守備の配置に戻る時間が読みやすい。
一方、ボールを握って相手陣内に人数をかけると、サイドバック、ウイング、インサイドの選手が前に出る。そこで奪われると、背後のスペースを一気に使われる。
町田は球際の強度と切り替えを武器にしてきたチームだが、今季の数字を見る限り、奪い返せなかったときのダメージが大きくなっている。
シュート数は多くないが、決める力で支えている
攻撃面でも、町田は圧倒的に撃ちまくるチームではない。Football LABでは2026年のシュートは11.5本でリーグ17位。チャンス構築率は10.7%で11位だ。
それでも得点が大きく沈んでいないのは、ゴール成功率が11.3%でリーグ6位だからだ。少ない好機を決める力が勝点を支えている。
ただ、これは裏返すと、攻撃が外れた試合では守備の1失点が重くなるということでもある。14得点15失点で勝点22まで伸ばせているのは強さだが、得点効率とPK勝に支えられている面もある。
PK勝が順位を押し上げ、得失点差の違和感を生んでいる
2026年のJ1百年構想リーグでは、順位表に「PK勝」「PK負」が入っている。町田は4月11日時点で3PK勝、1PK負を記録している。
この制度下では、90分で勝ち切れなかった試合でもPKで勝点を上積みできる。町田はここで大きく勝点を拾っている。
そのため、得失点差がマイナスでも順位が高いという現象が起きる。
- 90分で大きく勝つ試合は少ない
- 接戦をPK勝まで持ち込み、勝点を得る
- 失点が多くても、敗戦数を2に抑えている
- 得失点差より勝点が先に伸びる
これは制度に適応しているとも言える。接戦を捨てず、最後に勝点へ変える力は短期大会で重要だ。
ただし、リーグ後半や上位直接対決では、得失点差が効いてくる場面もある。鹿島やFC東京のように、勝点と得失点差を同時に積み上げているクラブと比べると、町田はまだ余白を残している。
見方は分かれる:評価すべき点と修正すべき点
町田をどう見るかは、立場によって少し変わる。
ポジティブに見るなら、勝点を落とし切っていない
上位にいるチームで最も大切なのは、悪い時間帯でも勝点を拾うことだ。町田はそれができている。
柏戦のように、相手のシュートを4本に抑えて1-0で勝ち切る試合もある。守備が根本から壊れているなら、この内容は出にくい。
さらに、攻撃ではナ・サンホ、エリキ、テテ・イェンギ、藤尾翔太といった前線の組み合わせを動かしながら、試合終盤に得点を奪う形も作っている。交代策を含めて、勝ち筋は複数ある。
慎重に見るなら、失点の出方が上位基準では重い
一方で、2024年の町田を知る読者ほど、今季の失点ペースには違和感を持つはずだ。
2024年の町田はJ1で3位に入り、総失点34、平均失点0.89だった。2025年も総失点38、平均失点1.00。堅さが上位進出の土台だった。
2026年はここが1.50まで上がっている。短期的なブレの範囲とも言えるが、被成功率の悪化まで重なっているため、偶然だけでは片づけにくい。
次に見るべきは、FC東京戦と東京ヴェルディ戦
町田の失点問題が一時的な揺れなのか、構造的な課題なのか。次の2試合は見極めに向いている。
Jリーグ公式の日程では、町田は4月18日にFC東京、4月25日に東京ヴェルディと対戦する。どちらもEASTの文脈では大きな意味を持つカードだ。
特にFC東京は、4月11日時点で町田と勝点1差のEAST2位。得点16、失点8、得失点差+8と、数字のバランスでは町田を上回る。
町田が見るべきポイントは、次の3つになる。
- ボール保持時のロスト後、最初の5秒で相手の前進を止められるか
- 最終ライン前のスペースで、相手に前向きのシュートを打たせないか
- 1点リード時に、無理に追加点を取りに行く場面と試合を閉じる場面を分けられるか
町田は勝てている。だからこそ、失点の多さは今のうちに修正できる課題でもある。
上位に残るだけなら、接戦を拾う力で十分に戦える。ただ、鹿島やFC東京を上回ってEASTを取りに行くなら、14得点15失点のままでは苦しい。次の直接対決で問われるのは、攻撃力よりも、失点につながる一瞬をどれだけ減らせるかだ。
