大宮が高知を逆転で下し15位確定 2戦の流れを変えたのは後半の修正力だった
高知が先に動かした試合を、大宮がセットプレーと途中投入の力でひっくり返した。2026年6月6日の明治安田J2・J3百年構想リーグ プレーオフラウンド第2戦、15-16位決定戦はRB大宮アルディージャが高知ユナイテッドSCに2-1で勝利。大宮は最終15位、高知は16位で大会を終えた。
このカードはホーム&アウェイの合計スコアで突破を争う形式ではなく、地域リーグラウンド4位グループの最終順位を決めるプレーオフの2試合目だった。第1戦でともに敗れた両チームにとって、第2戦は「13-16位決定戦」から回った最後の順位決定戦。大宮は最後に白星を取り、高知は第1戦に続いて競り合いを落とした。
- 第1戦:横浜FC 2-1 大宮、高知 2-3 山口
- 第2戦:大宮 2-1 高知
- 大宮のプレーオフ2戦:1勝1敗、3得点3失点
- 高知のプレーオフ2戦:2敗、3得点5失点
- 最終順位:大宮15位、高知16位
何が起きたか:先制した高知、押し返した大宮
試合は前半0-0で折り返し、後半に一気に動いた。
高知は55分、上月翔聖が先制点を決めた。高知側の報道では、後半開始から松本大地に代えて三好麟大を投入し、上月を右ウイングバックに移した流れが得点につながったと整理されている。配置変更の直後に前線とサイドの役割がかみ合い、高知が試合を先に動かした形だ。
大宮は73分、ガブリエウのゴールで同点。公式記録では得点は73分で、KUTVの試合経過ではコーナーキック後のこぼれたボールを押し込んだ場面として伝えられている。さらに81分、石川俊輝が勝ち越し点を決めた。
得点経過を短く整理すると、こうなる。
- 55分:高知、上月翔聖が先制
- 73分:大宮、ガブリエウが同点
- 81分:大宮、石川俊輝が逆転ゴール
大宮は56分に加藤玄と豊川雄太を下げ、石川俊輝と和田拓也を投入。65分にはカウアン ディニースに代えて磯﨑麻玖を入れた。後半の途中から前に圧力をかけ直し、セットプレーとミドルシュートで試合を取り戻したことが勝敗を分けた。
プレーオフ2戦で見えた立場の変化
第1戦の結果が、この第2戦の意味をはっきりさせた。
大宮は5月30日の第1戦で横浜FCに1-2で敗戦。高知も同日、山口に2-3で敗れた。高知は2点差を追いついて延長戦まで持ち込んだが、最後に勝ち越されている。
そのため第2戦は、どちらかが次へ進む試合ではなく、15位と16位を決める一発勝負になった。90分で決着がつかない場合は延長戦、PK戦、抽選の順で勝者を決める大会規定だったが、大宮が90分内で勝ち切った。
ここがポイント: 大宮対高知の「合計スコア勝負」ではない。プレーオフ2戦の勝敗によって、大宮は15位、高知は16位に着地した。
Jリーグ公式の大会ページでは、明治安田J2・J3百年構想リーグの結果による昇格・降格はないと明記されている。つまり、この試合の直接的な影響はカテゴリー移動ではなく、特別大会の最終順位と、2026/27シーズンへ向かうチーム評価にある。
勝敗を分けた要因:大宮の後半交代と高知の守り切れなさ
スコアだけを見ると2-1の接戦だが、流れははっきり二段階に分かれた。高知が配置変更で先制し、大宮が交代策とセットプレーで押し返した試合だった。
高知は上月の前線起用と配置変更で先に成功した
高知は前半から粘り強く守り、後半開始時に三好麟大を入れた。報道では、上月翔聖を右ウイングバックに移したことが先制点の流れに関わったとされている。
この動きには意味がある。高知は第1戦の山口戦でも2点ビハインドを追いつく粘りを見せており、追いかける展開で人数と勢いを前に出す力は持っていた。大宮戦でも、その強みは55分の先制点として表れた。
ただし、先制後に試合を閉じ切れなかった。73分にコーナーキックから同点にされ、81分には中央から石川に決められた。第1戦の山口戦でも追いついた後に延長で失点しており、2試合続けて勝負どころの守備で耐え切れなかったことは、高知に残る課題だ。
大宮は途中投入が得点に直結した
大宮側で最も大きかったのは、56分の石川俊輝投入だ。公式メンバーでは石川は控えスタート。1点を追う直前の時間帯に入ると、81分に決勝点を決めた。
石川は試合前のクラブ公式コメントで、この試合が自身にとって現役最後の試合だと話していた。感傷だけで語る必要はない。実際に勝敗を決めるゴールを奪ったことが、この試合での価値をはっきりさせている。
大宮は戸田光洋ヘッドコーチが指揮を執った。クラブ公式のプレビューでは、ボールを奪い続ける守備、後方からのビルドアップ、サイドを使った攻撃がテーマとして示されていた。試合展開を見る限り、前半から押し込む時間は作りながらも、得点は後半の人選変更とセットプレーから生まれた。
この点は、2026/27シーズンへ向けても見逃せない。大宮は地域リーグラウンドで泉柊椰、山本桜大が各10得点を記録した一方、この最終戦の得点者はDFガブリエウとMF石川俊輝だった。前線の個人だけに頼らず、セットプレーや後方の選手が点を取れる形を残したことは収穫になる。
データで見る両チームの特徴
Jリーグ公式のプレーオフ特集では、第2戦前の注目選手として、大宮は泉柊椰、高知は新谷聖基が挙げられていた。
大宮は泉柊椰と山本桜大が10得点、カプリーニが8得点。得点源が複数いるチームとして、攻撃の厚みは十分にあった。高知は新谷聖基が5得点でチーム最多。杉山伶央が4得点、濱託巳、関野元弥、金原朝陽、佐々木敦河、河田篤秀らが2得点で続いた。
一方で、この大宮対高知では主役が少し変わった。
- 大宮:ガブリエウ、石川俊輝が得点
- 高知:上月翔聖が得点
- 大宮の交代:石川、和田、磯﨑、村上、中山を投入
- 高知の交代:三好、関野、青戸、加藤佑太郎を投入
大宮は得点ランキング上位のアタッカーが決めた試合ではなかった。それでも勝った。高知は配置変更で先制まで持っていったが、終盤の守備で2点を許した。ここに、両チームの明暗がある。
それぞれの見方:大宮は締め、高知は課題を残した
この試合を中立的に見るなら、大宮は「勝って終えた」こと以上に、後半の修正が結果に出た点を評価できる。戸田ヘッドコーチ体制で迎えた最終戦で、途中投入の石川が決勝点を奪った。チーム事情が揺れた中でも、ホームで最後に勝点ではなく勝利そのものを手にした意味は小さくない。
高知は、J3勢として特別大会で16位まで上がった事実と、プレーオフ2戦で競り負けた現実を分けて見たい。第1戦は山口に延長で2-3、第2戦は大宮に1-2。どちらも一方的な敗戦ではない。だが、勝負どころで最後の1点を守る、あるいは取り返すところまでは届かなかった。
サポーター目線では、高知の粘りと先制までの流れは前向きに受け止められる。一方で、次のシーズンで順位をさらに上げるには、リード後の試合運びとセットプレー対応を避けて通れない。
次に見るべきポイント
明治安田J2・J3百年構想リーグの結果による昇格・降格はない。それでも、この15-16位決定戦は次のシーズンへの材料を残した。
大宮で見るべきなのは、攻撃の中心だった泉柊椰、山本桜大、カプリーニらに加え、セットプレーや中盤からの得点をどこまで再現できるか。前線の得点力に加えて、試合が重くなった時間帯に別ルートで点を取れるなら、チームの幅は広がる。
高知は、前半から我慢して後半に配置を変え、上月翔聖のゴールまで持ち込んだ形を次につなげたい。ただし、リード後に押し返された時間帯の守備は検証が必要だ。
今後の注目点は、次の3つに絞られる。
- 大宮は後半の交代策を、次シーズンでも勝ち筋として使えるか
- 高知は先制後の守備とセットプレー対応を改善できるか
- 両チームとも、特別大会の順位を2026/27シーズンの編成と起用にどう反映するか
大宮は15位、高知は16位。順位差は1つだが、最後の8分で結果は分かれた。次に問われるのは、その時間帯を偶然の勝敗で終わらせず、再現できる武器と修正すべき課題に分けられるかどうかだ。
