讃岐の速攻か、滋賀の保持か――第5節を分ける「奪われた後」の攻防
カマタマーレ讃岐はボール保持率41.8%、レイラック滋賀FCは48.5%。パス数にも1試合平均で約93本の差がある。異なる方法で同じ1試合平均1.5得点を記録してきた両者がぶつかる一戦だ。
最大の焦点は、攻撃を終えた直後に相手の前進を止められるか。讃岐は佐野竜眞を生かして少ない手数でゴールへ向かいたい。滋賀はボールを動かしながら押し込み、失った瞬間の守備で逆襲を封じたい。
- 開催:2026年9月5日(土)18:00
- 大会:2026/27明治安田J3リーグ 第5節
- 会場:四国化成MEGLIOスタジアム
- 順位:讃岐12位、滋賀8位
- 注目点:讃岐の縦に速い攻撃と、滋賀のボール保持を支えるリスク管理
対戦の前提――勝点差以上に対照的な両チーム
讃岐は1勝1分2敗、滋賀は2勝2敗で第5節を迎える。 試合は讃岐の本拠地、四国化成MEGLIOスタジアムで18時に始まる。
Jリーグ公式サイトが2026年9月4日に更新したクラブ情報では、讃岐は12位、滋賀は8位。監督は讃岐が大嶽直人、滋賀が角田誠と掲載されている。
直近4試合のリーグ戦を整理すると、両チームとも6得点。ただし、失点は讃岐が7、滋賀が8で、試合の振れ幅は小さくない。
カマタマーレ讃岐の直近4試合
- 福島戦:2-1で勝利
- 北九州戦:0-0で引き分け
- 高知戦:1-2で敗戦
- 鹿児島戦:3-4で敗戦
讃岐は開幕2試合で勝点4を得た後、2連敗。高知戦では90分に決勝点を許し、鹿児島戦でも終了間際に失点した。得点できる状態にある一方、試合終盤まで守備の強度と判断を保つことが課題として表れている。
レイラック滋賀FCの直近4試合
- 岐阜戦:0-3で敗戦
- 松本戦:3-2で勝利
- 群馬戦:3-2で勝利
- 鳥取戦:0-1で敗戦
滋賀はアウェイの松本戦と群馬戦で連続して3得点を挙げた。前節の鳥取戦では17本のシュートと10本のCKを記録したものの、PKによる1失点で0-1。ボールを前進させて攻撃回数を作ることと、それを得点へ変えることは別の課題だと分かる。
ここがポイント: 両チームとも4試合で6得点。差が出るとすれば攻撃力の有無ではなく、得点後やボールロスト後に試合を落ち着かせる力になりそうだ。
数字が示す対照――讃岐の縦への速さと滋賀の保持
同じ平均得点でも、ゴールへ向かうまでの設計は異なる。 その違いが、ボール保持率とパス数にはっきり出ている。
Jリーグ公式のクラブスタッツでは、讃岐の平均値は次の通りだ。
- 1試合平均得点:1.5
- 1試合平均パス数:358.8
- 平均ボール保持率:41.8%
- 1試合平均空中戦勝利:16.3
- 無失点試合:1
滋賀の平均値は以下となっている。
- 1試合平均得点:1.5
- 1試合平均パス数:452
- 平均ボール保持率:48.5%
- 1試合平均空中戦勝利:17.3
- 無失点試合:0
滋賀は讃岐よりボールを持ち、パスを重ねて前進してきた。讃岐は保持率が低くても同じ平均得点を残している。したがって滋賀が保持時間を増やしただけでは、主導権を握ったとは限らない。前へ出た選手の背後を讃岐に使わせない配置が必要になる。
反対に、讃岐が相手へボールを渡して待つだけでは苦しくなる可能性がある。滋賀は前節、無得点ながら17本のシュートを放った。自陣近くで何度も攻撃を受ければ、セカンドボールやセットプレーから圧力が積み重なる。
最大のマッチアップ――佐野竜眞を誰が、どこで止めるか
滋賀の守備は、讃岐のFW佐野竜眞へボールが入ってからではなく、その一つ前で対応できるかが重要になる。
佐野は背番号11。開幕戦でJリーグ初得点を記録し、前節の鹿児島戦では2得点1アシストと讃岐の全3得点に関与した。シーズン3得点はチーム最多であり、公式スタッツのチャンスクリエイト総数でも6を記録している。
滋賀が警戒したい二つの経路
佐野への供給を考えるうえでは、讃岐のFW村上悠緋も外せない。背番号77の村上は3アシストを記録し、チャンスクリエイト総数はリーグ掲載値で11。佐野だけをゴール前で囲んでも、村上が前向きにボールを持てば守備網の外から決定機を作られる可能性がある。
滋賀に必要なのは、次の二段構えだ。
- 村上ら供給役へ早く寄せ、佐野が良い状態で受ける回数を減らす
- 縦パスを入れられた後は、最終ラインだけに対応を任せず中盤も帰陣する
讃岐にとっては、滋賀がボールを保持して人数を前へ送った瞬間こそ狙い目になり得る。奪った選手が安全な横パスを選ぶのか、佐野や村上へ素早く届けるのか。その最初の判断が速攻の成否を左右しそうだ。
滋賀は北條真汰の決定力をどう引き出すか
滋賀の中心候補は背番号77のFW北條真汰だ。4得点でチーム最多。MF三宅海斗は1得点2アシスト、FW坂元一渚璃は1得点1アシストを記録している。
滋賀がパスを重ねる目的は、保持率を上げることではなく、北條がシュートへ入れる場所と時間を作ることにある。讃岐の守備ブロックを左右へ動かし、北條の周囲に三宅や坂元が入れば、中央を締める相手に対して複数の選択肢を持てる可能性がある。
讃岐側では、MF禹相皓の働きが注目される。背番号66の禹は公式スタッツでチーム最多のデュエル勝利数8。中央で滋賀の攻撃を一度止められれば、守備の時間を終わらせ、そのまま速攻の起点にもなれる。
ホームとアウェイ――結果だけでは測れない終盤の管理
会場は讃岐のホームだが、直近の実績だけなら滋賀は敵地で得点力を示している。
讃岐は前節、同じ四国化成MEGLIOスタジアムで鹿児島に3-4で敗れた。ホームで3得点した攻撃は材料になるが、追いついた後の90+6分に決勝点を許している。
滋賀は松本、群馬とのアウェイ2試合を、いずれも3-2で制した。敵地でも得点できた一方、2試合とも2失点している。リード後に試合を閉じる余地を残した内容でもある。
このため、先制点だけで流れが決まるカードとは考えにくい。先に得点した側には、さらに前へ出るのか、配置を崩さず相手を誘うのかという判断が求められる。とりわけ終盤は、讃岐がリーグ戦2試合続けて終了間際に決勝点を許している事実が重い。
予想される展開――主導権は保持率では決まらない
滋賀がボールを持ち、讃岐が縦に速く前進する時間が増える展開を予想する。 ただし、予想スタメンやフォーメーションは試合前の公式発表前には確定しない。
序盤、滋賀は452本という平均パス数を背景に、讃岐の守備位置を動かそうとする可能性がある。讃岐は無理に高い位置で追い続けるより、中央の進路を狭めて奪った後に佐野、村上へつなぐ方が、自身の得点傾向を生かしやすいだろう。
試合が動いた後は様相が変わる。滋賀が先制すれば、讃岐は保持率を上げて攻める時間を求められる。讃岐が先制すれば、滋賀が押し込み、讃岐がカウンターで追加点を狙う構図になりやすい。
勝敗を分ける具体的な場面は三つある。
- 滋賀がボールを失った直後、佐野への縦パスを止められるか
- 讃岐が北條へのパスを中央で遮断し、押し込まれる時間を切れるか
- 75分以降、リード側が攻撃人数と守備人数のバランスを崩さないか
2026年9月5日時点で本記事が確認した公式情報の範囲では、当日の先発メンバーとベンチ入り選手を確定できない。個別の出場可否も、今回確認したJリーグ公式の試合ページと両クラブページだけでは確定できないため、観戦前には当日のメンバー発表を確認したい。
観戦時に見るべきポイント
この試合で問われるのは、どちらが長くボールを持つかではない。攻撃が途切れた瞬間に、次の危険を先に消せるかだ。
- 讃岐が佐野へ何本の縦パスを入れられるか
- 滋賀が北條の周囲へ複数の選手を送り込めるか
- 村上や三宅といった供給役を、相手がどの位置で捕まえるか
- 終盤に中盤と最終ラインの間が広がらないか
讃岐には連続した終了間際の失点を断ち切る90分間の管理、滋賀には前節17本のシュートを得点へ変える精度が必要になる。時計が75分を回った後、攻め急がず、それでも相手を押し返せるのはどちらか。そこが最も見逃せない。










