清水エスパルス新主将・住吉ジェラニレショーンを支える3副将 異なる決意が生むリーダー像
清水エスパルスは2026/27シーズンのキャプテンに住吉ジェラニレショーン、副キャプテンに本多勇喜、北川航也、オ セフンを選んだ。
4人の言葉から浮かぶのは、主将一人に統率を任せる形ではない。勝つために動く住吉を、守備、クラブとの結び付き、得点への責任という異なる強みで3人が支える体制だ。
この記事の要点は次の通り。
- 住吉は言葉だけでなく、勝利につながる行動で先頭に立つ
- 本多は主将を近い位置から支え、チーム全体を整える
- 北川はクラブと街を背負う立場から一体感をつくる
- オ セフンはタイトルを狙う責任をプレーと結果で示す
新リーダー陣は「役割の分担」が明確
今回の人選で重要なのは、4人の決意が重なりすぎていないことだ。
キャプテンの住吉は、勝利のために必要な行動を率先する立場を引き受けた。一方、3人の副キャプテンは、それぞれ違う方向から主将とチームを支える。
- 住吉ジェラニレショーン: 勝利へ向かう姿勢と行動を先頭で示す
- 本多勇喜: キャプテンを支えながら、周囲への働きかけを担う
- 北川航也: クラブ、ファン・サポーター、街との結び付きを力に変える
- オ セフン: タイトルを狙う責任感を、ゴールや献身的なプレーで表現する
ここがポイント: 4人全員が同じ方法でチームを引っ張るのではなく、それぞれの立場と持ち味からリーダーシップを発揮する構成になっている。
この違いは、シーズン中に苦しい局面を迎えたときほど意味を持つ。守備を立て直す場面、攻撃陣に勢いが必要な場面、クラブ全体の一体感が問われる場面で、声を上げる選手が一人ではないからだ。
住吉ジェラニレショーンが示す「勝利への行動」
住吉に求められるのは、主将として話すこと以上に、勝つための基準をピッチで示すことだ。
センターバックは、試合全体を見渡しやすい。最終ラインの高さを決め、味方へ声をかけ、相手の攻撃を受け止める。後方からの組み立てでは、どこへボールを運ぶかという判断も任される。
住吉は2026年3月のサンフレッチェ広島戦後、選手が替わっても同じサッカーをできることをチームの良さとして挙げていた。そこで触れたライン設定や事前の共有は、キャプテンとしての役割にも直結する。
主将として見るべき行動は明確だ。
- 守備ラインを押し上げ、チームを間延びさせない
- 苦しい時間帯に味方へ具体的な指示を送る
- ボールを奪った後の一手で攻撃の向きを定める
- ミスが起きた直後に、次のプレーへ全員を切り替えさせる
腕章そのものが試合を変えるわけではない。住吉がこうした小さな判断を積み重ね、チームの基準にできるかが重要になる。
3人の副キャプテンが補うもの
副キャプテン3人の価値は、住吉と同じ仕事を代行することではなく、主将だけでは届かない場所を埋めることにある。
本多勇喜は守備陣から主将を支える
本多は住吉と同じ守備側の選手であり、最終ラインからチーム全体を見ることができる。住吉が前へ出て相手に対応したときには背後を埋め、逆に住吉がカバーへ回れば本多が前の選手へ指示を送る。副将としての支えは、こうした連続した判断にも表れる。
2026年2月の名古屋グランパス戦では、本多と住吉がセンターバックでコンビを組んだ。守備の中央に主将と副将が並ぶ形は、ピッチ上の意思疎通を速める利点がある。
本多の役割は「主将を助ける」という言葉を、守備の安定へ変換することだ。住吉がすべてを抱えずに済めば、キャプテン自身も目の前のプレーへ集中しやすくなる。
北川航也はクラブと街をつなぐ
北川が担うのは、試合中の統率だけではない。清水エスパルスと地域の関係を理解し、その重みをチーム内へ伝える役割だ。
北川は2026年2月、クラブのスポーツ振興・社会貢献活動の一環として静岡県立島田商業高校を訪問した。こうした地域との接点を持つ選手が副将にいることは、クラブが誰のために戦うのかを日常から共有するうえで意味がある。
ピッチでは前線から守備のスイッチを入れ、攻撃ではゴールへ向かう姿勢を示す。ピッチ外ではファン・サポーターや街との距離を縮める。北川には、クラブへの思いを具体的な行動へ変える橋渡し役が期待される。
オ セフンはタイトルへの責任を結果で示す
オ セフンの決意は、タイトルを狙う責任感と強く結び付いている。
194センチのストライカーは、2026年のJ1百年構想リーグで19試合7得点を記録した。クラブの説明によれば、強みは空中戦だけではない。前線でボールを収めるポストプレー、スペースへの走り、繰り返しプレスをかける運動量も攻撃を支える。
つまり、副将として期待されるのは得点だけではない。
- 前線でボールを収め、味方が押し上げる時間をつくる
- 守備のスタート地点として相手の組み立てを制限する
- ゴールが必要な局面で、ペナルティーエリア内の強さを示す
- タイトルを狙う基準を日々の練習と試合で下げない
オ セフンは完全移籍決定時、言葉ではなくプレーと結果で恩返しする意思を示した。副キャプテン就任によって、その責任は自身の成績だけでなく、チーム全体を勝利へ近づけるところまで広がる。
戦術面では「後方と前線」を結ぶ体制になる
4人の配置を見ると、清水のリーダー陣は守備の中央と攻撃の最前線をつなぐ構成になっている。
住吉と本多は後方から守備ラインを整え、北川とオ セフンは前線で攻撃とプレスの基準を示す。チームが縦に伸びたとき、後方だけが押し上げを求めても前線が連動しなければ陣形は縮まらない。逆も同じだ。
2026年6月の横浜F・マリノス戦では、清水は4-3-3を採用し、本多と住吉がセンターバック、オ セフンが最前線に入った。しかし、オ セフンへのフィード後にセカンドボールを回収できず、敵陣へ進むのに苦しんだ。
この試合は、新体制の課題を考える材料になる。後方から前線へボールを届けるだけでは攻撃は完結しない。必要なのは、次の動きを全員でそろえることだ。
- 住吉と本多が適切な高さから前線へ配球する
- オ セフンが競り合う位置を周囲と共有する
- 北川ら前線の選手がこぼれ球を予測して寄せる
- 中盤と最終ラインも押し上げ、二次攻撃へつなげる
この連動を整える際、後方と前線の双方にリーダーがいる利点は大きい。試合中に起きたずれを、それぞれの場所で素早く修正できるからだ。
評価は「苦しい時間帯の行動」で決まる
新リーダー体制の成否は、勝っている試合より、流れを失った時間帯に表れる。
リードされたときに最終ラインが下がりすぎないか。前線のプレスが一人だけになっていないか。攻撃がロングボール一辺倒になったとき、誰が落ち着かせるのか。そこで4人の役割分担が試される。
今後の注目点は次の3つだ。
- 住吉が守備対応とチーム全体への指示を両立できるか
- 本多、北川、オ セフンが主将を支えつつ、自分の持ち場で判断を下せるか
- 後方と前線の意思をつなぎ、セカンドボール回収や守備の連動を改善できるか
住吉の腕章に3人が寄り添うだけでは足りない。4人の異なる決意が、守備ラインの一歩、前線からの最初のプレス、ゴール前での最後の仕事に変わったとき、新体制は初めて結果を動かす。










