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中央突破に「サイド」を加える12日間 FC東京・白老キャンプで見えた2026/27シーズンの設計図

北海道・白老町の芝生でサイド攻撃を練習するFC東京をイメージした風景。

中央突破に「サイド」を加える12日間 FC東京・白老キャンプで見えた2026/27シーズンの設計図

FC東京が北海道・白老町で取り組んだのは、単なる走り込みではない。明治安田J1百年構想リーグで機能した中央突破を残しながら、サイド攻撃とエリア別の守備を新たな武器として反復する12日間だった。

7月14日から25日までのキャンプでは、モンテディオ山形、名古屋グランパスとの練習試合も実施。若手、新加入選手、復帰をめざす選手を含め、松橋力蔵監督が求める「同じ11人に頼らないチーム」の土台作りが進められた。

この記事で分かることは次のとおりだ。

  • キャンプの日程、開催地、公開範囲
  • 攻撃と守備で反復した具体的なテーマ
  • 2試合の結果から読み取れる到達点と課題
  • 若手や復帰組を含むポジション争い
  • 8月の開幕までに確認したいポイント
目次

白老で過ごした12日間の全体像

FC東京は7月14日から25日まで、白老桜ヶ丘公園陸上競技場で初の夏季キャンプを行った。

クラブは2026/27シーズンからの秋春制移行を見据え、前年11月に白老町とキャンプ実施の覚書を締結。小平グランドで7月5日にトレーニングを始めた後、北海道へ移動した。

キャンプの基本情報は以下のとおり。

  • 期間:2026年7月14日(火)~25日(土)
  • 会場:白老桜ヶ丘公園陸上競技場
  • 所在地:北海道白老郡白老町緑丘4丁目638-1
  • 練習公開:午前・午後とも一般公開を基本とし、一部は非公開
  • 練習試合:公開の有無をクラブのトレーニングスケジュールで案内

クラブは練習時間や公開範囲が変更される場合、公式トレーニングスケジュールを更新すると案内していた。見学を予定するサポーターにとって、現地へ向かう直前の確認が欠かせない運用だった。

白老観光協会は会場への移動手段として、町内循環バス「ぐるぽん」の更新ダイヤも紹介した。キャンプはチーム内の強化にとどまらず、町による受け入れや観覧環境の整備を伴う取り組みになった。

最大のテーマは攻撃ルートの複線化

白老キャンプの核心は、中央を封じられても前進できる攻撃を作ることだった。

FC東京は明治安田J1百年構想リーグを全体4位で終えた。中央を攻略して好機を作った一方、クラブの中間レポートによれば、クロスからの得点は多くなかった。相手が中央経由の攻撃を警戒する新シーズンでは、同じルートだけに頼れば前進が滞る可能性がある。

「+1」とサイドの崩しを接続

キャンプ2日目の午前練習では、30メートルのタイム測定、パス&コントロールに続き、ビルドアップを確認した。松橋監督が求めたのは、ボール周辺で数的優位を作る「+1」と、味方が動き出すタイミングを合わせることだった。

午後はサイド攻撃に焦点を移し、最後は11対11で確認。俵積田晃太と橋本健人の連係から狙いどおりに崩す場面も生まれたと、クラブ公式レポートは伝えている。

重要なのは、中央突破を捨ててクロス中心へ切り替えたわけではない点だ。外側で相手を広げられれば、中央に再びスペースができる。中央とサイドを行き来できる状態を作り、守る側に選択を迫ることが狙いになる。

ここがポイント: サイド攻撃は新しい単独テーマではなく、FC東京が得意としてきた中央攻略をもう一度生かすための出口でもある。

クロスは上げる選手だけの課題ではない

クロスから得点するには、配球役の精度だけでなく、ゴール前へ入る人数、走り込む位置、こぼれ球への準備までそろえる必要がある。

左サイドでの競争に臨む橋本は、百年構想リーグで得点を多く生んだ右サイドへの対抗心を示し、自身のクロスに磨きをかけた。バングーナガンデ佳史扶も、クロスの成功率と得点を増やす仕事は自分の特長に重なると公式インタビューで語っている。

両選手の存在が意味を持つのは、左から質の高いボールを供給できれば、右だけに偏らない攻撃を組み立てられるからだ。開幕後はクロス本数だけでなく、逆サイドの選手や中央の選手がどこまでゴール前へ入れるかも見たい。

守備は場所ごとの役割を整理

守備では、前から奪う場面と構えて守る場面を切り分け、ピッチの位置に応じた約束事を反復した。

キャンプでは次の順番で守備が整理された。

  • 前線から制限をかけるハイプレス
  • 中盤でスペースを閉じるミドルブロック
  • 自陣へ押し込まれた際のクロス対応
  • セットプレー時の確認

すべての局面で前へ出続ければ、プレスを外された後方に広いスペースが残る。一方、早く下がりすぎると相手を押し返せない。どの位置で誰が前へ出て、周囲がどこを埋めるのかをそろえることが、長いリーグ戦で守備を安定させる前提になる。

クラブの最終日レポートによれば、こうした細かな約束事は帰京後も反復する方針だ。12日間で完成したと見るより、白老で共通言語を作り、小平で精度を上げる流れと捉えるべきだろう。

2試合が示した「修正して勝つ」プロセス

練習試合は1敗、1勝だったが、結果以上に3本を通じた変化が重要だった。

モンテディオ山形戦は先行後に逆転負け

7月17日のモンテディオ山形戦は45分×3本で行われ、FC東京が1-2で敗れた。

  • 1本目:1-0(31分、山田楓喜)
  • 2本目:0-1(44分に失点)
  • 3本目:0-1(12分に失点)

先制しながら2本目終盤に追いつかれ、3本目に逆転された。メンバーや交代の詳細が公表されていないため個人評価には踏み込めないが、異なる組み合わせでも守備の強度と約束事を維持できるかという課題は残った。

松橋監督が「長いシーズンは同じ11人では戦えない」と語った背景にもつながる。主力だけが機能するのでは足りず、選手が入れ替わっても守備の基準を落とさないことが必要だ。

名古屋グランパス戦は先制されてから逆転

7月21日の名古屋グランパス戦も45分×3本で実施され、FC東京が2-1で勝利した。

  • 1本目:0-1(4分に失点)
  • 2本目:1-0(13分、室屋成)
  • 3本目:1-0(38分、小湊絆)

開始直後に失点しながら、2本目と3本目に1点ずつ奪って逆転した。山形戦とは反対に、時間の経過と選手の入れ替わりを挟みながらスコアを戻した点は前向きな材料だ。

特に法政大学からJFA・Jリーグ特別指定選手として加わった小湊が得点したことは、競争の広がりを示す。公式戦での序列を決める一発ではないものの、若い選手が終盤に結果を残せば、既存の前線にも緊張感が生まれる。

2試合を合わせると、FC東京は計3得点3失点。得点者は山田、室屋、小湊の3人に分散した。特定のストライカーだけに依存しなかった一方、計6本のうち4本で無得点だったことから、整備中のサイド攻撃を継続的な得点へ変えられるかは開幕後も確認が必要だ。

復帰組、若手、新加入選手が競争を押し上げる

白老キャンプは戦術を整える場であると同時に、シーズンを通して戦える人数を増やす選考の場でもあった。

バングーナガンデはキャンプ序盤の公式インタビューで、まず戦列へ戻ることを優先し、練習試合の出場時間に制限があると説明していた。個人の目標として、キャンプ終盤に制限なくプレーを終えることも挙げた。

ここで無理をして一時的に出場時間を伸ばすより、リーグ開幕後に継続してプレーできる状態へ戻す方が重要だ。サイド攻撃の強化というチーム課題と本人の特長が一致するだけに、コンディションの回復は左サイドの選択肢を左右する。

同時に、白老では世代をまたぐ競争も動いた。

  • FC東京U-18から渡邊麻舟と新堀恵太の2026/27シーズントップチーム昇格が発表された
  • 渡邊はトップチームのGK陣との練習を成長機会と位置づけた
  • 小湊は名古屋戦で得点し、前線の競争へ具体的な結果を持ち込んだ
  • 最年長の森重真人を含む経験豊富な選手も定位置争いに臨んだ

若手がキャンプに参加するだけでは、戦力の底上げとは呼べない。練習試合で起用され、既存選手と同じ戦術上の役割を担い、結果を残せるか。白老で始まった競争の価値は、公式戦のメンバー選考にどう反映されるかで決まる。

観覧したサポーターが確認できたこと

一般公開は、完成したチームを見る場ではなく、狙いを反復する過程を確かめる機会だった。

午前と午後の練習は一部を除いて公開され、非公開日や変更点はクラブが随時案内した。公開練習では、ボールの行方だけを追うより、次の動きを見るとキャンプのテーマをつかみやすい。

  • サイドでボールを持った際、何人が追い越すか
  • クロスに対し、中央と逆サイドから誰が入るか
  • ボールを失った直後、前から奪い返すのか、ブロックを作るのか
  • 選手が入れ替わっても守備の立ち位置が保たれるか

キャンプはすでに終了しているため、今後の練習見学やイベントについてはFC東京公式サイトの最新案内を確認したい。過去の公開条件が小平グランドなど別会場へそのまま適用されるわけではない。

開幕までに見るべき3つの実戦

白老で積み上げた内容は、8月1日の国際親善試合と8月8日のリーグ開幕戦で最初の答えを求められる。

FC東京は帰京後、次の試合へ向かう。

  • 8月1日:国際親善試合 ボルシア・ドルトムント戦
  • 8月8日:2026/27明治安田J1リーグ第1節 FC町田ゼルビア戦
  • 8月16日:同第2節 ヴィッセル神戸戦

ドルトムント戦では、強度の高い相手に対してサイドから前進できるか、プレスを外された後にミドルブロックへ移れるかが焦点になる。結果だけでなく、白老で繰り返した動きをどこまで試合速度で再現できるかを確認したい。

リーグ開幕の町田戦では、ボールを持った時の攻撃ルートと、相手の前進を止める守備の基準が問われる。続く神戸戦まで含めれば、異なる相手に対して戦い方を調整する力も見えてくる。

今後の具体的な注目点は3つだ。

  • クロスが単発で終わらず、シュートやこぼれ球回収につながるか
  • 選手交代後もハイプレスとミドルブロックの基準を維持できるか
  • 若手、復帰組、新加入選手が公式戦の選択肢に入るか

白老で作ったのは完成形ではなく、長いシーズンを戦うための共通ルールだ。中央とサイドの両方から得点し、誰が出ても守備の基準を保てるか。その答えは、8月8日の町田戦からスコアと選手起用に表れ始める。

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