2026年9月13日、GIKENスタジアム。明治安田J3リーグ第6節の高知ユナイテッドSC対ツエーゲン金沢は、前半6分に高知の下田栄祐が先制し、同37分に金沢の川上竜が追いついて1-1で終わった。
試合を通して押していたのは金沢のほうだ。ボール支配率は高知37%に対して金沢63%、シュート数は高知10本に対して金沢19本。数字だけ見れば一方的に近い。
それでも勝点は分け合いになった。この記事で追いかけるのは一つの問いである。金沢は19本のシュートを放ちながら、なぜ1点しか奪えなかったのか。
ここがポイント: シュート数は金沢が高知の倍近く。しかし枠内シュートは高知4本、金沢2本と逆転している。
この試合で押さえる3点
- 公式記録で確認できる結果と得点者、交代、警告
- シュート数と枠内シュートの「ねじれ」が示すもの
- 交代カードの切り方に表れた、両チームの終盤の狙い
公式記録で確認できた試合の骨格
まず事実を固めておく。
- 大会・節: 明治安田J3リーグ 2026 第6節
- 開催日: 2026年9月13日
- 会場: GIKENスタジアム
- 最終スコア: 高知ユナイテッドSC 1-1 ツエーゲン金沢
- 得点: 前半6分 下田栄祐(高知)/前半37分 川上竜(金沢)
- 入場者数: 1,757人
- 天候: 晴れ、気温26.3℃、湿度90%
9月中旬とはいえ湿度90%。キックオフ時点の数字としては、走り続けるにはなかなか厳しいコンディションだった。
警告
警告は両チーム2枚ずつ。出た時間帯がきれいに分かれている。
| 時間 | チーム | 選手 |
|---|---|---|
| 前半43分 | ツエーゲン金沢 | 松本 大輔 |
| 後半10分 | ツエーゲン金沢 | 山本 義道 |
| 後半45+1分 | 高知ユナイテッドSC | 浅野 良啓 |
| 後半45+4分 | 高知ユナイテッドSC | 佐藤 丈晟 |
金沢の2枚は前半終盤から後半立ち上がりにかけて、高知の2枚はアディショナルタイムに集中している。退場者はいない。
数字のねじれ ― 19本と2本、10本と4本
このセクションの結論を先に書く。金沢はシュートの「本数」を積み上げ、高知はシュートの「質」で並んだ。
公式記録の主要スタッツを並べると、ねじれがはっきり見える。
| 項目 | 高知ユナイテッドSC(ホーム) | ツエーゲン金沢(アウェイ) |
|---|---|---|
| シュート | 10 | 19 |
| 枠内シュート | 4 | 2 |
| ボール支配率 | 37% | 63% |
| パス成功率 | 78% | 85% |
| コーナーキック | 3 | 6 |
※枠内シュートは、ゴールマウスの中に飛んだシュート。ブロックされたり大きく外れたりしたものは含まれない。
本数と枠内率の差が意味するもの
金沢は19本のうち枠に飛んだのが2本。割合にすると約11%。高知は10本のうち4本で、40%にあたる。
同じ「シュート」でも中身が違った可能性が高い。金沢の19本のうち枠内は2本、高知は10本のうち4本だった。CKからのシュートや距離、ブロック数の内訳はこの集計では分からず、シュートの質の違いは映像などで確かめる必要がある。
支配率63%、パス成功率85%という金沢の数値も、この解釈と整合する。ボールは持てていた。ただし、持てていたエリアがゴールから遠ければ、シュート本数は伸びても枠内は増えない。
高知の先制点が試合の枠組みを決めた
前半6分、下田栄祐が決めた。開始10分を待たずにホームが1点をリードしたことで、37分に同点になるまで、高知がリードしていた。
リードした側は、無理に前へ出る必要がなくなる。追う側はボールを持たざるを得なくなる。支配率37%対63%という数字は、必ずしも力関係そのものではなく、6分から37分までのスコア状況の影響を受けた可能性もある。
その金沢が追いついたのが前半37分、川上竜のゴール。ハーフタイムを待たずに同点に戻したことで、後半は「どちらも勝点3を狙える」状態で始まった。
交代カードに表れた終盤の狙い
このセクションの結論。高知は79分までに5人を投入し、金沢は最後まで前線の枚数を入れ替え続けた。
交代は以下のとおり。
高知ユナイテッドSC
- 後半12分(57分): 佐藤丈晟 ← 三好麟大
- 後半24分(69分): 浅野良啓 ← 金原朝陽/関野元弥 ← 工藤真人
- 後半34分(79分): オリグバッジョ イスマイラ ← 下田栄祐/河田篤秀 ← 七牟禮蒼杜
ツエーゲン金沢
- 後半23分(68分): 榊原杏太 ← 嶋田慎太郎/パトリック ← 白輪地敬大
- 後半32分(77分): 宮崎海冬 ← 鈴木遼
- 後半41分(86分): ブワニカ啓太 ← 大澤朋也/毛利駿也 ← 四宮悠成
注目したいのは79分、高知が先制点の下田栄祐を下げた点だ。得点者を残さず、オリグバッジョ イスマイラと河田篤秀を同時に投入している。湿度90%という環境も踏まえれば、消耗した選手を入れ替えて終盤の強度を保つ判断だった可能性がある。
一方の金沢は86分に2枚同時。残り時間がわずかな段階でのカードは、勝ち越しを狙う意思表示と受け取れる。終盤に投入された選手がどこまでゴールに迫れたかまでは、公式記録の数値からは読み取れない。
そして高知の2枚の警告は90+1分と90+4分。アディショナルタイムに高知の浅野良啓と佐藤丈晟へ警告が出たことは、記録から確認できる事実である。
問いへの答えと、次に見たい論点
最初の問いに戻る。金沢はシュート19本を放ち、1得点だった。金沢の枠内シュートは2本で、この少なさが結果を読む手がかりになる。本数は積み上がったが、ゴールマウスを捉えたのは2本。対する高知は10本中4本を枠に飛ばし、1点を取った。
支配率もパス成功率もコーナーキック数も金沢が上回った。それでも勝点3に届かなかったのは、優勢の中身が「ゴール前に迫る回数」へ十分に変換されなかったためと考えられる。高知の側から見れば、ボールを譲る形になっても被枠内シュートを2本に抑え、少ない手数で結果に結びつけた試合だった。
今後の注目点
- 金沢が同じような支配率の試合で、枠内シュートの本数を伸ばせるか
- 高知が先制した展開以外でも、少ないシュートを枠に飛ばせるか
- 高知の交代5人のうち3人が69分以前だった点が、この試合限りの対応なのか、継続する傾向なのか
- 浅野良啓と佐藤丈晟の警告が、今後の累積状況にどう影響するか
なお、この試合の先発メンバーの詳細と両チームの監督コメントについては、2026年9月21日時点で本記事が参照した公式試合記録からは確認できていない。










