RB大宮の夏季キャンプは「走力」と「即時奪回」をどう磨いたか――ライプツィヒから青森・函館へ続いた28日間
RB大宮アルディージャの2026年夏季キャンプで最も重要だったのは、ナルシス・ペラッチ・ナダル監督が志向するアグレッシブなサッカーを、走力と連動したプレスによって形にすることだった。
6月28日にドイツ・ライプツィヒで始まり、青森、函館へと続いた長い準備期間。RBライプツィヒU19との練習試合では、高い位置でのボール奪取や若手の得点など、積み上げの一端も表れた。
この記事で分かることは次のとおりだ。
- 3会場を巡ったキャンプの日程と公開範囲
- ライプツィヒで重点的に取り組んだ守備と走力
- 練習試合で見えた成果と修正点
- ポジション争いで注目したい選手
- 8月8日のJ2開幕戦へ向けた確認ポイント
3会場を巡った夏季キャンプの日程
RB大宮は海外で戦術の土台をつくり、国内2会場で開幕への仕上げを進めた。
クラブが公表した日程は以下のとおり。ライプツィヒから青森、函館へと場所を移しながら、約4週間にわたって準備を重ねた。
- ライプツィヒキャンプ:6月28日~7月8日、ドイツ・ライプツィヒのRBライプツィヒ所有施設
- 青森キャンプ:7月14日~20日、新青森県総合運動公園 球技場
- 函館キャンプ:7月20日~25日、うみしんフットボールパーク(函館フットボールパーク)
青森では7月18日午後4時、函館では7月22日午前10時から公開練習が設定された。青森市が示した日程では、公開日以外の青森キャンプは非公開。公開練習でも動画撮影や、練習内容・参加メンバーが分かる情報のSNS発信は禁止された。
参加選手の完全な一覧はキャンプ告知では示されていない。練習時間やファンサービスも変更される場合があるため、見学前にはクラブのチームスケジュールを確認したい。
ライプツィヒで磨いたのは「最後まで走る守備」
キャンプの中心課題は、前線から最終ラインまでが同じ判断で動くプレスだった。
クラブのキャンプレポートによると、7月1日は午前6時30分のランニングを含む3部練習を実施。基本的なパス練習でも足を止めず、狭いスペースでの11対11では、試合終盤を想定して8分間プレスを続けた。
負荷を上げた理由は明確だ。新シーズンに目指すスタイルでは、試合終了まで強度を保つ必要がある。疲れた状態でも味方と声を掛け合い、ボールを失った直後に次の守備へ移れるかが問われた。
10人が連動するプレスを反復
7月3日の練習では、フィールドを13秒で5本走った後、10人でプレスの掛け方を確認した。
整理された項目は具体的だ。
- ボール、スペース、相手選手のどれを優先するか
- どの選手が前へ出てボール保持者を追うか
- サイドバックが高い位置へ出るタイミング
- 逆サイドへ展開された際のスライドと絞り方
- 奪われた直後に「切り替え」と「準備」を共有できるか
単に前から追うだけでは、かわされた後方に大きな空間が生まれる。だからこそ、前線の一歩目と後方の押し上げをそろえる必要がある。ナルシス監督が選手同士のコミュニケーションを強く求めたのも、ピッチ上で状況に応じた修正を行わせるためだった。
ここがポイント: RB大宮が磨いたのは走行量そのものではなく、全員が同じ合図で走り、奪った後の攻撃までつなげる仕組みだった。
練習試合で見えた成果と未完成の部分
RBライプツィヒU19戦では高い位置での奪取が機能した一方、立ち上がりの連動には課題が残った。
ライプツィヒ滞在中には、7月1日にドイツ5部所属のVfBゲルマニア・ハルバーシュタット、7月7日にRBライプツィヒU19と対外試合を行った。クラブの7月8日付レポートではU19戦を45分×2本で実施したことが伝えられているが、最終スコアは掲載されていない。
U19戦の序盤、大宮は連動した守備がかみ合わず、最終ラインの背後を突かれた。相手のオフサイドに救われた場面もあり、プレスを外された後の対応には修正の余地があった。
しかし、13分にセットプレーから先制すると流れが変わる。前半には17歳のマギージェラニー蓮が、スファナット・ムエアンタの浮き球に走り込んでボレーシュートを決めた。後半は高い位置でのボール奪取が続き、豊川雄太、泉柊椰らも得点した。
この試合が示したポイントは二つある。
- 守備の開始位置と後方の連動がそろえば、敵陣で攻撃を繰り返せる
- 若手や新加入選手にも、走力と即時奪回を基準とする競争が開かれている
一方、クラブ公式が確認できる範囲では、青森・函館キャンプの練習試合結果や詳細な得点記録は公表されていない。ライプツィヒで表れた成果が国内キャンプでどこまで再現されたかは、開幕後の公式戦で判断する必要がある。
ポジション争いは役割への適応が基準になる
注目すべきは名前の大きさではなく、新しい原則を試合中に実行できるかどうかだ。
カウアン・ディニースのインサイドハーフ起用
カウアン・ディニースは、本職のボランチとは異なるインサイドハーフで練習を続けた。本人の説明では、ペナルティーエリア内へ入る動きや、反対側のインサイドハーフが深い位置を取った際のカバーが求められている。
攻撃参加と守備のバランスを同時に担う役割だ。プレスの一角として前へ出る判断も含め、カウアンの適応は中盤全体の強度に直結する。
山本桜大に求められる得点の継続
山本桜大はRBライプツィヒへ完全移籍したうえで、2026/27シーズンも期限付き移籍でRB大宮に所属する。背番号は18。百年構想リーグでは18試合10得点を記録した。
その数字が重要なのは、新しい守備の先にあるゴールを担えるからだ。前線から追うだけではなく、奪った直後に相手ゴールへ向かい、J2でも得点を重ねられるかが昇格争いを左右する。
杉本健勇と若手の競争
RBライプツィヒU19戦で最前線に入った杉本健勇は、約束事が機能すれば勢いのあるサッカーができる一方、試合中に選手が対応を共有する必要性を語った。
杉本の役割は得点だけではない。経験の浅い選手が前へ出られる環境をつくりながら、自身も同じポジションを争う。マギージェラニー蓮の得点は、若手が競争に割って入る可能性を示す具体的な材料になった。
8月8日の新潟戦で何を確認すべきか
キャンプの評価は、J2開幕戦でプレスの強度と持続時間をどこまで示せるかで決まる。
RB大宮は8月8日午後7時、NACK5スタジアム大宮でアルビレックス新潟との2026/27明治安田J2リーグ開幕戦を迎える。続く第2節は8月15日、アウェイでFC今治と対戦する。
開幕戦で見るべきポイントは絞られる。
- 前線が追い始めた瞬間に中盤と最終ラインも押し上げられるか
- プレスを外された後、背後のスペースを素早く埋められるか
- 奪った直後に山本桜大ら前線へボールを届けられるか
- 後半も「切り替え」と「準備」の速度を保てるか
- セットプレーでキャンプ終盤の反復練習を得点へ結びつけられるか
ライプツィヒで原則を共有し、青森と函館で実戦に向けた精度を高めたRB大宮。約4週間の成果を測る最初の基準は、試合開始直後の勢いではない。90分を通して11人の距離を保ち、プレスが外れた場面でも崩れずに次の守備へ移れるかだ。
参照リンク
- RB大宮アルディージャ公式「インターナショナルプレシーズン2026」実施のお知らせ(2026年5月20日)
- RB大宮アルディージャ公式 国内キャンプのスケジュールについて(2026年7月3日)
- RB大宮アルディージャ公式 国内キャンプの公開練習日程について(2026年7月12日)
- 青森市 RB大宮アルディージャ夏季トレーニングキャンプのスケジュール(2026年7月14日更新)
- RB大宮アルディージャ公式 ライプツィヒキャンプレポート・山本桜大(2026年7月1日)
- RB大宮アルディージャ公式 ライプツィヒキャンプレポート・カウアン・ディニース(2026年7月4日)
- RB大宮アルディージャ公式 ライプツィヒキャンプレポート・杉本健勇(2026年7月8日)
- Jリーグ公式 RB大宮アルディージャ試合日程・結果








