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V・ファーレン長崎はJ1で本当に戦えているのか 6勝を積みながらWEST最下位に沈む理由

V・ファーレン長崎はJ1で本当に戦えているのか 6勝を積みながらWEST最下位に沈む理由

答えを先に書くと、長崎はJ1で通用している部分を確かに持っている。セレッソ大阪、清水エスパルス、ファジアーノ岡山には90分で勝ち切り、名古屋グランパス戦も17本のシュートを打って押し返す時間を作った。

ただし、第16節のセレッソ大阪戦を迎える2026年5月9日時点で、長崎はWESTグループ10位。6勝を挙げながら最下位なのは、2026年の特別レギュレーションで引き分けがなく、負け試合を0点で終える回数が多すぎるからだ。90分敗戦8、PK負け1。勝つ日は勝つが、勝てない日に勝点を拾えていない。

  • 2026年5月9日時点の長崎はWEST10位、勝点19
  • 内訳は6勝、PK勝ち0、PK負け1、90分敗戦8
  • 16得点のうちチアゴ・サンタナ6得点、マテウス・ジェズス5得点で攻撃の軸は明確
  • 一方で15試合22失点。先制後や試合の流れが変わった直後の守り方が最大の課題

ここがポイント: 長崎は「J1で何もできないチーム」ではない。問題は、勝てる形を持ちながらも、その時間を90分の勝点に変え切れていないことだ。

目次

まず整理したい現状 なぜ6勝で最下位なのか

2026年のJ1百年構想リーグ地域リーグラウンドは、90分で同点ならPK戦に進む完全決着方式だ。勝点は90分勝利が3、PK勝利が2、PK敗戦が1、90分敗戦が0になる。

この方式では、勝つ日があるだけでは足りない。勝てなかった日に1点でも持ち帰れるかが順位に直結する。

長崎は2026年5月6日終了時点で6勝9敗、得失点差-6。Jリーグ公式の第16節プレビュー表記では、セレッソ大阪戦前の成績は6勝8敗、PK負け1だった。どちらで見ても共通しているのは、PK勝ちが0で、90分敗戦が多いという点だ。

つまり、最下位の理由は単純な力不足だけではない。勝つ試合を持ちながら、接戦を引き寄せて勝点1や2に変える回数が少ない。そこが、同じ下位でも勝点を積めるクラブとの差になっている。

長崎がJ1で戦えている部分

長崎の良さを先に押さえると、悲観だけで片づける必要はない。

1. 前線の質で一発を作れる

得点源ははっきりしている。5月6日時点の個人成績では、チアゴ・サンタナが6得点、マテウス・ジェズスが5得点、ノーマン・キャンベルが2得点。この3人でチーム16得点の大半を担っている。

特にチアゴ・サンタナは、背負う、競る、ゴール前に入るの3つをまとめて担える。岡山戦では波多野豪の配球から、チアゴ・サンタナが競った先の背後を岩崎悠人が狙う形で先制点が生まれた。長崎はただつなぐだけではなく、前線の基準点を使って一気に前進する形を持っている。

2. 上位級の相手にも試合を壊され切っていない

セレッソ大阪との初対戦は1-0で勝利。Jリーグ公式記録では長崎が19本のシュートを打った。名古屋戦でも17本のシュート、9本のCKを記録している。

この数字が示すのは、長崎が受け身一辺倒ではないということだ。ボール保持率のシーズン平均もクラブ公式の比較ページでは48%台。完全に押し込まれるだけのチームではなく、局面次第では主導権を取り返す時間を作れている。

3. 勝てた試合では守備の整理もできている

セレッソ大阪戦後、高木琢也監督はゲームプランの達成感があったと振り返った。試合終盤は5バック気味に寄せながら1点を守り切っている。

岡山戦でも、高木監督は前半に先制し、2点目まで取れたことでゲームをコントロールできたと評価した。長崎は守り切る設計を全く持っていないわけではない。条件がそろえば、J1相手でも勝ち切るだけの形は作れている

では何が足りないのか 最下位に沈む課題

問題はここからだ。長崎は良い時間帯を持てるのに、そのあとが続かない。

1. 先制後と流れの変化に弱い

今季の象徴的な試合は少なくない。

  • 3月8日のガンバ大阪戦は前半のうちに逆転しながら、後半2失点で2-3負け
  • 3月18日の京都サンガF.C.戦は開始5分に先制しながら、1-2負け
  • 5月3日の名古屋戦は29分に先制しながら、35分と後半9分に失点して1-2負け

高木監督も名古屋戦後、試合が動いた場面でチーム全体の注力が足りなかったと語っている。ガンバ大阪戦後には、勝っている時間帯のゲームプランと、押し込まれた時間帯の対応を課題に挙げた。

ここは偶然ではない。長崎は「良い時間」を持てるが、「相手が修正してきた時間」をしのぎ切れていない。

2. 守備が後ろ向きになると一気に苦しくなる

名古屋戦後の高木監督コメントで印象的だったのは、下げる場面が増え、失点に至らなくても相手にチャンスを与えたという反省だ。

ガンバ大阪戦でも、江川湧清は後半に相手のボランチに持たれる時間が増え、チーム全体がずるずる下がったことを課題に挙げていた。

長崎は前から出て行ける時には試合になる。しかし、後退し始めるとライン間の整理やセカンドボール回収で後手を踏みやすい。15試合22失点という数字は、その不安定さをそのまま表している。

3. PK戦で勝点を増やせていない

この大会では、90分で勝てなくてもPK戦まで持ち込めば最低1点、勝てば2点が入る。ところが長崎は、セレッソ大阪戦前の時点でPK勝ち0、PK負け1だ。

言い換えると、勝てない試合をほぼそのまま0点で終えている。ここが普通のリーグ戦以上に重い。

  • 90分で勝ち切る力はある
  • 90分で引き分け相当まで持ち込む力はまだ足りない
  • その結果、勝点の積み上がりが荒くなる

この不安定さが、6勝という数字の見た目より順位が伸びない最大の理由だ。

現場は何を課題と見ているか

チームの内側の言葉を並べると、論点はかなり一致している。

監督の視点

  • 高木琢也監督は岡山戦後、「ゲームをコントロールすること」をチーム課題として明言
  • 名古屋戦後は、試合が動いた時の集中と、下がり過ぎた守備対応を反省点に挙げた
  • ガンバ大阪戦後は、勝っている時間帯の進め方と、押し込まれた時の対応不足を指摘した

選手の視点

  • 波多野豪は岡山戦の先制点について、チアゴ・サンタナの競りと岩崎悠人の背後ランを狙っていたと説明
  • 江川湧清はガンバ大阪戦後、後半にチーム全体が下がったことを課題に挙げた
  • 進藤亮佑はセレッソ大阪戦後、5バックへの移行を含めて守備の改善はできたが、手放しでは喜べないとも話した

つまり、現場の認識はかなり明快だ。攻撃の形はある。守備の意識も低くない。だが、90分を通した試合運びの精度がまだJ1下位脱出ラインに届いていない。

今後の注目点 残留争いではなく「勝点の取り方」が問われる

長崎は5月9日にアウェイでセレッソ大阪、5月17日にホームでヴィッセル神戸、5月23日にアウェイで京都と続く。ここは、内容だけでなく勝点の取り方が問われる並びだ。

見るべきポイントは3つに絞れる。

  • 先制した試合で、もう1点を奪い切るか、試合を落ち着かせるか
  • 押し込まれた時間帯に最終ラインだけで耐えず、中盤まで含めて前向きに回収できるか
  • 90分勝利が難しい試合でも、PK戦まで持ち込んで勝点1以上を確保できるか

長崎は、最下位だからといってJ1に不向きな内容ではない。むしろ、勝てる武器はもう見せている。

次に必要なのは、新しい魅力ではなく再現性だ。勝てる時間を、勝点に変え続けられるか。 そこが変われば、6勝で最下位というねじれた立ち位置は、まだ修正できる。

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