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監督交代をまたいだオーストリア遠征――ガンバ大阪、0-3から3-0へ変えた2026年夏季キャンプ

オーストリアの山々を背景に練習するガンバ大阪の選手たち。

監督交代をまたいだオーストリア遠征――ガンバ大阪、0-3から3-0へ変えた2026年夏季キャンプ

イッサム・ジェバリが直接FKとCKから2得点を奪い、デニス・ヒュメットが前線での奪取から3点目を決める。7月15日、ガンバ大阪はFCレッドブル・ザルツブルクとのトレーニングマッチを3-0で制した。

その4日前にはACスパルタ・プラハに0-3で敗れていた。しかも遠征中の7月10日、クラブはイェンス・ヴィッシング監督の退任を発表している。今回のオーストリアキャンプで最も重要なのは、勝敗以上に、指揮体制が揺れるなかでも守備の修正と前線の競争を止めなかったことだ。

この記事で分かることは次の通り。

  • キャンプは7月5日から18日まで、オーストリア・シュラトミングで実施
  • 欧州勢との2試合は0-3、3-0と対照的な結果
  • セットプレー、背後への動き、複数のGKとフィールド選手の起用が確認された
  • 帰国後は明神智和監督が就任し、プレシーズンマッチでツエーゲン金沢に6-0で勝利
  • 8月7日のJ1開幕、11日のACLEプレリミナリーステージへ準備期間は短い
目次

7月5日に現地始動、全日程を一般公開

ガンバ大阪は国内で始動してから遠征したのではなく、オーストリアキャンプそのものを2026/27シーズンの出発点にした。

クラブが6月26日に発表した概要は以下の通りだ。

  • 期間:2026年7月5日(日)~18日(土)
  • 開催地:オーストリア・シュラトミング
  • 練習場:Athletic Area Schladming
  • トレーニングマッチ会場:USK Anif Sportzentrum
  • 対戦相手:ACスパルタ・プラハ、FCレッドブル・ザルツブルク
  • 公開範囲:キャンプの全日程を一般公開

チームスケジュールでは、7月6、7、9、13日に午前・午後の2部練習を設定。8、10、14、16日は午前練習、12日はオフとなっていた。試合を挟みながら負荷を調整する構成だったことが分かる。

現地練習は公開された一方、動画撮影、見学エリアでの飲食・飲酒・喫煙、芝生への立ち入りなどは禁止された。キャンプはすでに終了しているため、これから練習見学を考えるサポーターは、帰国後の公開予定とファンサービスの有無をクラブ公式スケジュールで確認したい。

なお、クラブはキャンプの一括参加者名簿や、2試合の全出場メンバーを公表していない。本稿ではキャンプレポートや帰国後の公式記録で確認できる選手だけを扱う。

0-3の敗戦で見えた「前進しても打ち切れない」課題

ACスパルタ・プラハ戦では、攻撃の入口を作れてもシュートまで完結できず、セットプレーを含む守備でも差を突きつけられた。

7月11日の第1戦は0-3。14分、37分、65分に失点した。クラブのキャンプレポートによると、前半は植中朝日と倉田秋の連係、山下諒也やデニス・ヒュメットの背後への動きから機会を作ったものの、なかなかシュートへ持ち込めなかった。

一森純のセーブでしのぐ場面もあったが、前半だけで2失点。後半はイーライ・アダムスから當野泰生へのパス、食野亮太郎と初瀬亮が組んだ左サイドからゴールへ迫ったものの、無得点に終わった。

ここで重要なのは、単純に「欧州の強豪に負けた」で片づけないことだ。公式レポートからは、次の二つが同時に読み取れる。

  • 複数の組み合わせから前進する形は作った
  • 最後のパス、シュート、失点回避という両ゴール前の仕事では成果が出なかった

攻撃参加者の名前が複数挙がったことは、前線の選択肢を試した証拠でもある。ただし、選択肢の多さと得点力は同じではない。新シーズンへ持ち越せないのは、良い位置まで運びながら攻撃が途切れる時間だ。

3-0への変化はセットプレーと前線の圧力から生まれた

ザルツブルク戦の改善は、ジェバリのセットプレーとヒュメットの背後への動きが、実際の得点に結びついた点にある。

7月15日の第2戦は30分×3本で行われ、ガンバ大阪が合計3-0で勝利した。

ジェバリが異なる形で2得点

1本目の26分、ジェバリが右足の直接FKを決めて先制。29分には初瀬のCKへ頭で合わせた。

同じ選手の連続得点だが、形は異なる。直接FKで相手の守備配置を飛び越え、CKではキッカーとターゲットの関係から追加点を奪った。流れの中で崩し切れない試合でも、セットプレーが得点経路になることを示した2点だった。

一方、守備ではGK荒木琉偉がCKからの決定機を防いでいる。得点だけでなく、相手セットプレーへの対応も試された試合だった。

ヒュメットの得点は「背後を狙い続けた」結果

2本目ではヒュメットが背後への動きを繰り返し、54分には相手DFのミスからボールを奪って無人のゴールへ流し込んだ。

スパルタ・プラハ戦でも抜け出し自体は確認されていた。そこで得点にならなかった動きが、次戦では前線から圧力をかける形で実を結んだことになる。2試合の連続性が最もはっきり表れたのがヒュメットの3点目だった。

中谷進之介と三浦弦太を中心とした守備は2本目を無失点に抑えた。3本目も、ウェルトンが中野伸哉との連係から左サイドを仕掛け、GK東口順昭を中心に最後まで失点を許していない。

GKでは荒木、東口、前戦の一森がそれぞれ公式レポートに登場した。フィールド選手だけでなく、最後尾にも競争と確認の機会があったキャンプだった。

遠征中の監督退任で、キャンプの意味が変わった

この遠征は戦術を仕上げるだけの期間ではなく、監督交代後もチームを止めないための接続期間になった。

クラブは7月10日、イェンス・ヴィッシング監督の退任を発表した。2試合のちょうど間ではなく、第1戦の前日である。キャンプ前に描いていた戦術計画が、そのまま新体制へ引き継がれる状況ではなくなった。

7月18日には、トップチームコーチだった明神智和氏の監督就任が発表された。明神監督は21日の就任会見で、リーグ戦で安定した成績を残せていないことを課題に挙げる一方、ACL2を制したチームにはタイトルを狙える力があるとの認識を示した。

その言葉とキャンプの内容をつなぐと、明神体制が引き継ぐべきものと、整えるべきものが見える。

引き継げる要素

  • 前線の複数選手が背後を狙ったこと
  • 左右のサイドから異なる組み合わせを試したこと
  • セットプレーから得点を奛えたこと
  • GKを含む複数の選手へ実戦機会を与えたこと

整えるべき要素

  • 前進をシュートへ結びつける確率
  • 相手にボールを持たれた時間の守備
  • 試合ごとの出来を公式戦で安定して再現すること
  • 監督交代後の役割と優先順位の共有

明神監督は「勝つこと」を最優先としつつ、ガンバ大阪では「どう勝つか」も求められると語った。オーストリアで残した0-3と3-0は、まさにその両方を考える材料になる。結果を反転させただけでは足りない。なぜ得点でき、なぜ無失点にできたかを、公式戦で再現可能な形へ落とし込む必要がある。

帰国後の6-0が示した前線競争の広がり

キャンプ後初の対外試合では、得点者が4人に広がり、欧州で試した前線の動きが結果へつながった。

7月24日、ガンバ大阪はツエーゲン金沢とのプレシーズンマッチに6-0で勝利した。得点者は以下の通り。

  • デニス・ヒュメット:1得点
  • 山下諒也:2得点
  • 食野亮太郎:2得点
  • 植中朝日:1得点

4選手はいずれも、スパルタ・プラハ戦のキャンプレポートで攻撃機会に関与した選手たちだ。オーストリアでは無得点に終わった組が、帰国後の試合では計6得点を分け合った。

先発にはジェバリも入り、宇佐美貴史、倉田秋、名和田我空、ウェルトンらがベンチに控えた。前線の席は固定されたとは言い切れない。ヒュメットと山下の背後への動き、食野のサイドからの得点、植中の途中出場からの結果を、明神監督がどの組み合わせで使うかが次の焦点になる。

ただし、プレシーズンマッチの大勝をJ1での得点力へそのまま換算することはできない。見るべきなのは6点という数字だけではなく、複数の選手が異なる時間帯で得点した事実を、開幕後も維持できるかどうかだ。

8月はJ1開幕とACLEが連続する

キャンプの成果を試す本番はすぐに来る。ガンバ大阪には、国内リーグとアジアを並行して戦う準備が必要だ。

2026/27明治安田J1リーグは、8月7日にパナソニック スタジアム 吹田で行われる浦和レッズ戦から始まる。さらにクラブ公式発表では、8月11日にAFCチャンピオンズリーグElite 2026/27プレリミナリーステージの江原FC戦が予定されている。

開幕から間隔が短いため、注目点は一つの先発メンバーではない。

  • ジェバリのセットプレー能力をどう生かすか
  • ヒュメット、山下、植中らの背後への動きを誰が供給するか
  • 食野、ウェルトンらサイドの仕掛けを得点へつなげられるか
  • 中谷、三浦を軸とする守備陣が無失点を継続できるか
  • 一森、荒木、東口を含むGK陣をどう起用するか
  • 短い間隔で先発を入れ替えても試合強度を保てるか

オーストリアでの2試合は、0-3から3-0へ振れた。帰国後は6-0で勝った。上向きの結果は明確だが、明神体制に求められるのは一度の大勝ではなく、監督自身が課題に挙げた安定性である。

次に確認すべきは、8月7日の浦和レッズ戦で、セットプレー、背後への走り、連係した守備の三つが同じ試合にそろうかどうかだ。 そこまで再現できて初めて、監督交代をまたいだオーストリアキャンプが新シーズンの土台だったと評価できる。

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